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オフィス移転の際に負担となるのが、オフィスレイアウトの考案、それに伴う内装工事の手配、オフィス家具などの調達といった業務です。移転先探しや手配だけでも大変なのに、各業務にかかる手間とコストは無視できません。

最近では、工事費の高騰の影響もあり、移転先オフィスの内装のコスト負担も大きくなりがちです。そこで注目されているのが「セットアップオフィス」です。最近は新築オフィスビルの一部にセットアップオフィスの区画が用意されたり、一棟丸ごとセットアップオフィス仕様のビルも増えてきています。内装のデザインやオフィス家具の品質にも配慮された物件が多く、こうした工夫が評価され、移転先の選択肢としてセットアップオフィスを積極的に検討する企業が増えています。

セットアップオフィスとはどんな物件? 居抜き物件とは違う?

「セットアップオフィス」とは、すでに内装が整えられ、オフィス家具なども設置済みで、契約後すぐに入居できる状態に整えられているオフィスのことです。つまり、内装を考えたり工事をしたり、オフィス家具を選んで購入したりする初期の負担がなくなることが大きなメリットだと言えます。一方、セットアップオフィスと同様に初期の負担が軽減されるものとして「居抜き物件」があります。居抜き物件とは、前入居者が使っていたままの内装(什器類を含むこともある)が、そのまま残っている状態の物件を指します。前入居者が原状回復していない物件ですので、使用感が残っていることが多いです。セットアップオフィスは、不動産業者が内装や家具を新たに手配しているケースが多く、前入居者のものを引き継ぐ居抜き物件とは異なります。なかには、新たに内装工事を行い、新しいオフィス家具を使用している物件もあります。

 

通常のオフィス、セットアップオフィス、居抜き物件の違いを簡単にまとめると次のようになります。

セットアップオフィスのメリットとは?

セットアップオフィスのメリットとしては、次のような点が挙げられます。

レイアウトやデザインの検討、オフィス家具の選定といった準備の手間を省ける

オフィス移転では、新しいオフィスのレイアウトを考えたり、内装をデザインしたり、家具を選んで調達したりと、多くの準備が必要になります。これらは時間もコストもかかる大きな負担です。セットアップオフィスであれば、内装工事や家具の設置があらかじめ済んでいるため、こうした準備の手間を大幅に軽減できます。

オフィス移転の準備期間を短縮できる

オフィス移転には、移転先の選定から契約、内装工事や家具の準備まで、長い時間がかかるのが一般的です。特に契約後の工事や什器の手配には、予想以上に時間を要することもあります。セットアップオフィスなら、内装や家具があらかじめ整っているため、契約後すぐに入居できるケースも多く、準備期間を大幅に短縮できます。

初期費用が抑えられる

オフィス移転時には、敷金や引越し費用以外に内装工事やオフィス家具の調達にも多くの費用がかかります。セットアップオフィスではそれらの費用を抑えることが可能です。

財務状況を改善できる

通常、オフィスの内装工事や家具の購入費用は、会社の資産として計上され、減価償却の対象になります。これらの費用は貸借対照表に記載されるため、金額が大きいと財務状況に影響を与え、銀行などからの融資審査にも関わってくる可能性があります。一方、セットアップオフィスでは、内装や家具があらかじめ用意されているため、これらの費用を資産として計上する必要がなく、オフバランス処理が可能です。その結果、会計処理がシンプルになり、財務面でも柔軟性が高まります。

セットアップオフィスの注意点とは

一方、セットアップオフィスには注意するべき点もあります。

自社にピッタリの物件を見つけられるかどうか

オフィス移転では、まず立地や規模の条件に合った物件を選定したうえで、自社の業務スタイルに適した内装やレイアウトがあらかじめ整っているオフィスを見つける必要があります。物件探しの段階で、業務環境との整合性まで考慮することが求められるため、選定作業は複雑であり、より慎重な判断が必要になります。

賃料が高めに設定されていることが多い

初期費用を抑えられる点はセットアップオフィスの大きなメリットですが、その分、月々の賃料が周辺同等物件より高めに設定されているケースが多いです。これは、内装工事やオフィス家具の費用が賃料に含まれているためと考えられます。結果として、初期の負担は軽減される一方で、長期的にはランニングコストが高くなる可能性があります。

セットアップオフィスが向いている企業とは?

セットアップオフィスのメリット、注意点を踏まえると、どんな企業がセットアップオフィスに向いているでしょうか。以下にいくつかのケースを紹介します。

すぐにオフィスを借りたい企業

スタートアップ企業や急成長していてすぐにでもオフィス移転をしなければならない企業などは、移転までの期間を短縮できるセットアップオフィスが向いていると言えるでしょう。また、こういった企業は、成長に応じて短期間で次のオフィスに移転するケースが多く、後述する理由からもセットアップオフィス向きです。

とにかく初期費用を抑えたい企業、融資を受ける予定がある企業

直近の財務状況から多くの出費を避けたいタイミングにある企業、また近く融資を受ける予定があり財務状況を改善したい企業などは、内装やオフィス家具などにかかる費用をオフバランス化できるセットアップオフィスのメリットが大きいと言えるでしょう。

短期利用の可能性のある企業

プロジェクト単位での利用など、比較的短期のオフィス契約を検討している場合は、セットアップオフィスの利便性が活かしやすいと言えます。短期間の入居であれば、賃料が多少割高でも初期費用の軽減効果が上回るため、コスト面での負担は抑えられます。一方で、長期的に利用する場合は、賃料の高さが総コストに影響するため、慎重な検討が必要です。

まとめ

最近では、移転先としてセットアップオフィスを選ぶ企業が増えています。通常のオフィス、セットアップオフィス、居抜き物件にはそれぞれ異なる特徴があり、自社のニーズに合った選択をすることが重要です。「すぐに移転できる」「初期費用を抑えられる」といったメリットは魅力的ですが、賃料やレイアウトの柔軟性など注意すべき点もあります。メリットとデメリットの両面を踏まえたうえで、自社に最適なオフィスを見極めることが大切です。

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