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コロナ禍でテレワークが一気に普及したことにより、働き方に変化が起き、オフィスの在り方が変わりました。近年では、社員の働き方に合わせてオフィス移転を検討する企業が増えています。
本記事では、オフィス移転を成功させるための必要なタスクやスケジュール管理を注意点と交えて解説します。
移転の各フローにおける必要タスク
オフィス移転において重要なポイントは、タスクを段階ごとに分けてスケジュールを組むことです。オフィス移転にはどのような必要タスクがあるのかを理解しましょう。
大まかに、以下の流れでオフィス移転は進行されます。
- 移転計画立案
- 移転先の選定・分析
- 賃貸借契約
- 内装工事
- 移転作業
- 各種公的手続き
1.移転計画立案
オフィス移転のプロジェクトが組まれてはじめに行うのが計画の立案です。移転目的とゴールを明確にし、コンセプトを検討、要件を整理していきます。
「オフィス環境を改善するため」なのか、または「テレワークが増えたことによるオフィスのコスト削減」のためなのかなど、目的を明確にすることで本質を見失わずに済みます。
とくに規模の大きな移転では関わるメンバーも多く、あやふやなゴールでは迷子になりやすいです。時間をかけてきちんと計画内容を明確化しておく必要があります。
目的の明確化にあたっては、現状のオフィスの調査も欠かせません。今までどのように運用されていて、どのような課題があるのかを洗い出します。現状の課題と移転目的がずれていないかどうかは重要な観点です。
移転プロジェクトにおいて、最初の計画立案は非常に大切な工程です。
現在は働き方や雇用形態なども変わってきているため、移転と合わせて社内ルールを見直し、新しいルールを社内に浸透させることも必要。自社の働き方に合わせてルールを見直したり社内に浸透させたりするためには、社員の意見を吸いげ、移転計画に反映させなければなりません。
オフィス移転においては、計画が形だけで業者任せにならないよう、自分たちで社員の声を聞きながら移転計画を立案することがとても重要なのです。
2.移転先の選定・分析
移転目的やコンセプトが固まったら、オフィス移転先の選定・分析に入ります。移転先がオフィス移転の目的に合致しているかを判断するための重要なタスクです。
ここでは、交通や周辺環境、室内の形状や管理状況など、ビル情報をしっかりと調査することが重要。そのうえで候補となるビルを数件選定し、移転シミュレーションを行い移転コストを算出します。
3.賃貸借契約
オフィスの選定が完了したら、賃貸借契約。賃貸借契約を締結するためにはまず入居申込書を提出し、貸主が入居審査を行います。
契約は一般的に以下の流れで進行されます。
- 入居申込書の作成・提出
- 入居審査
- 契約内容確認
- 敷金・契約金などの預入
- 重要事項説明
- 契約締結
申し込みから締結まではスムーズに行っても、約1〜2ヶ月はみておく必要があります。申し込み後に契約条文や支払い等の調整、社内決裁のための取りまとめなどいくつかのタスクが発生するためです。
入居にあたりオーナー側と条件交渉を行う場合は、さらに期間が延びるものと考えておきましょう。
4.内装工事
内装工事のタスクでは、内装のイメージやデザインが予算内にスケジュール通り実現できるかがカギとなります。そのために、デザイン設計や施工業者の選定、見積もり依頼、施工スケジュールの打ち合わせなどを入念に行います。大規模な移転の場合、内装設計に半年ほどかけることも多いです。
内装工事は仕入れ時期や施工状況が変動しやすいため、余裕を持ったスケジュールを確保しておくことが重要です。工事完了後に竣工検査を行い、設計通りに工事が行われたかどうかの確認を経て内装工事の完了となります。
移転作業
実際の移転作業は業者に任せるケースが多いため、ポイントとなるのは梱包や搬出マニュアルの準備です。そのためには、移転スケジュールを社員へ広報し、梱包・搬出マニュアルとタイムスケジュールを作成します。
同時に、取引先への通知も忘れてはいけません。発送する移転の挨拶状は、デザインの決定や送付リストの作成など時間がかかる作業となるため、早い段階で動き出すことが必要です。
さらに、現オフィスの原状回復工事の打ち合わせを行います。オフィスの引越しが完了した時点から着工できるよう、工事業者の選定や打ち合わせを早い段階で行うようにしましょう。
各種公的手続き
各種公的手続きはオフィス移転の最終段階です。代表的な手続きは下記のとおりです。
スケジュールの一連の流れ
オフィス移転を成功させるためには、全体的なタイムスケジュールを把握することが求められます。ここではおおよそどれくらいの期間で進めていけばよいのか把握できるよう、大・中・小3つの規模ごとのスケジュール感をまとめてみました。
大規模オフィス(3,000坪ほど)の場合
大規模の場合、各タスクにおける業務量や検討項目も増えるため、2年ほどの期間を設けてプロジェクトを進めていけるとスムーズです。
中規模オフィス(500坪ほど)の場合
中規模の場合、大規模ほどではありませんが検討項目などが多いため、1年半ほどの余裕を持ったスケジューリングを組みましょう。
小規模オフィス(70坪ほど)の場合
小規模になると検討項目や業務量も絞られてくるため、半年より少し前からのスケジューリングが理想です。
しかしこれは通常移転の場合になり、移転計画や工事内容によってはさらにスケジュールを伸ばす必要が出てきます。
スケジュールを組む際の注意点
オフィス移転には多くの作業や多額の予算が投じられるため、スケジュール管理がもっとも重要なタスクとなります。ここからは、オフィス移転のスケジュールを組むための注意点を解説します。
柔軟性を持たせたスケジュール管理
オフィス移転は半年以上にもおよぶ長期プロジェクトのため、途中で計画の変更やズレが生じることがあります。
計画の変更があったにもかかわらず当初のスケジュール強行しようとすると、プロジェクト全体にズレが生じることが予想されます。
そのため、オフィス移転のスケジュールには柔軟性を持たせ、トラブルや計画の変更が発生した場合でも対応できるようにしましょう。
できるだけ具体的な移転業務フローを作成する
オフィス移転は多くの手間がかかるプロジェクトです。したがって、社員の通常業務への影響を最小限に抑えるためにも、できるだけ具体的な移転業務フローを作成しましょう。
たとえば、オフィス移転プロジェクトチーム発足の時点で「オフィス移転チェックリスト」を作成し、各タスクで発生する業務を事前に把握することでオフィス移転を計画的に進められます。
オフィス移転プロジェクトという企業の一大行事を円滑に進めるために、具体的な移転業務フローが求められるのです。
各種手続き関連は早めに準備する
オフィス移転には、いくつもの届出や手続きが不可欠です。手続きには、法務局や税務署などへの移転完了後の届出と、社内インフラ整備のなどの早めの届出が必要な手続きがあります。
移転完了後の届出には、手続きごとに期限が決められているため、早めのチェックが必要です。また、電話やインターネットなどの通信関係の住所変更は、あらかじめ手続きを行わなければいけません。
オフィス移転の手続きに手間取ると、通常業務に支障をきたし停滞するおそれがあります。各種手続きを余裕をもって完了させるためにも、早めの準備を心がけましょう。
まとめ
オフィス移転は、数多くのタスクを同時進行で進める一大プロジェクトです。
働き方が多様化した今、オフィス移転は業務を改善する重要な手段となりました。そのため、オフィス移転にはどのような作業があり、いつまでに作業をするかのスケジュール管理が重要な役割を担っています。
今求められている働き方を実現するため、スケジュールの立て方を理解しオフィス移転を成功させましょう。