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社員のウェルビーイング向上実現には、どのような対策を打てばよいかお悩みの担当者も多いのではないでしょうか。その有効な手立てであり、社員の満足度を高めるうえで不可欠ともいえるのがオフィス環境の改善です。

本コラムでは、オフィスのあり方・環境改善が社員のウェルビーイング向上にどう作用するのか、オフィス環境改善策のメリットと理由を解説するとともに、ウェルビーイング向上を目指した企業の具体事例も紹介します。

ウェルビーイングの必要性と導入のメリット

ウェルビーイングとは一般的に、人が肉体面・精神面・社会面で満たされ、良好であることを意味する概念です。具体的には身体が健康で、精神的に充実しており、社会的に満足している状態を指します。

少子化による人口減少で人手不足が指摘される日本の企業において、社員は人材ではなく「人財」と表現されるようになりました。企業経営を考えるうえで、人財である社員一人ひとりの満足度を高め、多様な選択を尊重する取り組みが求められてきています。ウェルビーイング度の高さは生産性にも大きく影響することがわかってきており、社員が自分らしくいられることとワークエンゲージメントは、セットで考えていく必要があります。

企業がウェルビーイング経営を導入するメリットは、主に次のとおりです。

  • ワークエンゲージメント向上による生産性、業績アップ
  • ワークライフバランスが整うことによる離職率低下、人材確保
  • 健康経営の達成

ひとつずつ見ていきましょう。

ワークエンゲージメント向上による生産性、業績アップ

まず企業の生産性向上において、ワークエンゲージメントが欠かせません。ワークエンゲージメントは、以下3つの要素が揃ってはじめて達成されます。

  1. 活力
  2. 熱意
  3. 没頭

仕事への活力があり、やりがいや誇りなどの熱意を持ちながら、没頭している状態が、ワークエンゲージメントが高いと定義されます。ウェルビーイング経営は、社員一人ひとりの選択を尊重する取り組みです。社員自らが「やりたい」「達成したい」と考え、能動的に業務遂行することは、企業が管理するよりもずっとやりがいや誇りを持てるようになるでしょう。「やりたい」は、生産性を生み出すエネルギーとなるのです。

ワークライフバランスが整うことによる離職率低下、人材確保

社員一人ひとりを尊重するウェルビーイングの取り組みは、ワークライフバランスに大きく影響します。企業内で「自分はどうしたいか」「自分らしさとは何か」を大切にする空気をつくることで、社員たちはライフステージにあったフレキシブルな働き方が叶います。

これはキャリアや働き方への不安が軽減されるだけでなく、社員たちの中で「自分らしく働ける」といった、自社に対するポジティブな感情を生むきっかけに。

また社員の幸福度向上による高定着率・低離職率の評判などは、企業の魅力性を引き上げるものです。それは就職活動者にとって企業を選択する大きなバロメーターとなり、人材確保にも寄与するでしょう。

健康経営の達成

近年注目されている健康経営。健康経営とは、社員の健康管理を投資と捉え、経営戦略ベースで考えていく取り組みです。

ウェルビーイングでは心身の心地よさや幸福を大切にするため、これに取り組むことは必然的に健康経営の達成も意味します。

注意したいのは、健康経営は社員の健康を管理するものであるのに対し、ウェルビーイングは社員の心身の充足感を、あくまで自分らしさを尊重する形で達成するものという点。ウェルビーイングの取り組みの中で健康経営も達成したい場合は、社員自らが「健康的な毎日を送りたい」と考えることをサポートできる取り組みが必要です。

ウェルビーイング向上につながるオフィス環境の考え方

社員の定着や業務パフォーマンス最大化など、企業にとってメリットの多いウェルビーイング経営。これを達成するためには、まず労働環境の改善を図る必要があります。労働環境の改善では、おもに制度の見直しや福利厚生の充実、オフィス改善などが当てはまるでしょう。

自分の能力を最大限発揮できるかを考えた際、労働環境に左右されることは想像に難くありません。社員一人ひとりがもつ「自分はこうやって働きたい」を尊重し叶えられるよう、企業は多様な働き方に適した労働環境を整備する必要があるのです。

オフィス環境改善の施策ヒント

ウェルビーイングを叶える労働環境においては、下記のようなオフィスレイアウト施策を導入する企業が多いです。

  • フリーアドレス制
  • 休憩、カフェスペースの導入
  • 観葉植物の設置
  • 託児所や授乳スペースの設置
  • オフィス家具の買い替え
  • オフィス移転

施策実行においては、一人ひとりが自分らしく働ける環境かどうかが重要です。コロナ禍を経て、場所にとらわれない働き方が重視されていますが、オフィス内においても同様です。柔軟な働き方の提供は、社員の心身の充実、健康にポジティブな影響をもたらします。

コミュニケーションを活性化させる、環境づくり

ウェルビーイングを叶えるには、オフィスレイアウトとセットで、ストレスのない自然な関わりを生み出せるコミュニケーション環境構築も図る必要があります。

コミュニケーション環境構築ではただスペースを用意するだけでなく、社員一人ひとりのマインドセットの周知やツールの活用なども含め、複合的に施策を実行することが重要。

休憩・カフェスペースなどの設置は、リラックスした雰囲気を与える点では有効ですが、元々雑談をする雰囲気や習慣のない組織ではコミュニケーション促進に繋がりにくいです。

たとえば、雑談するためだけの時間枠を設置してみるのはいかがでしょう。定例会議の前後に余白時間を取ってみたり、お昼休憩とは別に10分ほど「リフレッシュタイム」のような自由時間をつくってみたり。上司や周囲を気にせず、社員たちが「雑談しやすい」と感じられる雰囲気を、社内全体でつくっていけると理想です。

またチャットツールで「雑談部屋」などを設置するのも有効。業務と交流がグラデーションで考えられるよう、普段社員たちが使用するツールやスペースなどを軸に、コミュニケーション施策を導入してみましょう。

オンライン・オフラインの両軸からコミュニケーション施策に取り組みつつ、マインドセットも周知していくことで、どのような社員でも働き方に関わらずメンバー間で交流しやすくなり、ウェルビーイングの向上につながります。

オフィス環境改善施策に取り組む企業事例2選

ここでは、ウェルビーイング経営を達成できるようなオフィス環境改善に取り組んだ企業事例をご紹介します。取り上げるのは以下の2社です。

  • コロプラ
  • アマゾンジャパン

コロプラ

モバイルゲーム事業などが有名なコロプラは、コロナをきっかけに、感染症対策の課題を解決すべくオフィス移転をおこなっています。

まず移転計画を遂行すべく、プロジェクトチームを編成。年次や職種にかかわらないさまざまな社員層でグループをつくり、定期的なワークショップを重ね、社員たちから意見や要望を集めることに注力しました。

移転テーマは「健康&クリエイティブ」を掲げ、社員の健康を守りながら、創造性を高め、社員同士が円滑なコミュニケーションを取れる快適なオフィスをつくり上げました。

とくにゲーム事業会社らしい特徴が、「ゲームコーナー」と「図書館」のふたつ。

研究開発を目的に設置されたゲームコーナーは、レトロゲームから最新ゲームまで、あらゆるソフト・ハードが用意されています。ゲーム開発につながるアイデアが得られるのはもちろん、従業員同士がゲームを通じて交流できることから、コミュニケーション促進にもなっているのだとか。ゲーム事業会社らしいクリエイティブスペースとして機能していることがうかがえます。

一方図書館では社員のクリエイティブを最大限サポートできるよう、デザインなどの業務に関わる専門書はもちろん、雑誌や漫画、ビジネス書など約3000を超える書籍を取り揃えているそう。こちらは在宅勤務でも利用できるよう貸出システムを構築しており、働き方に関わらず制度を活用してもらえるような仕組みづくりが特徴的です。

同社は事業につながる形で、社員のクリエイティブやコミュニケーションを後押しできるよう制度を導入していることがわかります。

もう一つのテーマである健康については、抗ウイルス素材の使用や換気システムなどの設備面ではもちろん、マッサージルームや軽食スペースを設置。社員が働きながら毎日の健康を維持できるような仕組みづくりをおこなっています。中でもおもしろいのが「無限バナナコーナー」。栄養価の高いバナナをいつでも食べられるよう、オフィス内に食べ放題のバナナコーナーを設けているのだそう。

またフリーアドレス制の採用やカジュアルな雰囲気のコミュニケーションスペースを設置し、フランクに社員同士が交流できるような空間づくりをおこなっています。

移転後、社員からは「安心して出社できる」「自分らしく快適に働ける」ポジティブなコメントが集まっているそう。社員一人ひとりの声を聞き、健康で快適に過ごしたいという考えを最大限に尊重した、ウェルビーイングなオフィス移転の好例といえるでしょう。

アマゾンジャパン

アマゾンジャパンでは、ダイバーシティを取り入れたオフィスづくりを特徴としています。

約50の国と地域から人が集まっている同社(2021年時点)では、経験や文化の異なるメンバーたちの多様性の尊重を大事にしているのだそう。

経験や文化背景にかかわらず公平に個人が能力を最大限発揮でき、メンバー間での信頼関係がつくれ、一人ひとりが「尊重されている」と感じられるような職場環境を構築しています。

たとえば礼拝室。とくに一日数回の礼拝が義務付けられている人たちにとって、必要なスペースです。同社は礼拝室を設けることで、信仰を大事にしている人が、働きながらもこれを達成できるようにしています。

囲碁やチェス、麻雀ができるカフェスペースも特徴。社員同士が集まってわいわいカジュアルに交流でき、さらに笑いを生みやすい空間になっています。アロマの香り漂う休憩スペースもおもしろいです。香りを取り入れることで、より社員がリラックスしやすく、心地よいと感じられるようになっています。

出産後の女性をサポートするマザーズルーム(搾乳室)もあります。椅子や机のほか、冷蔵庫や除菌用の衛生用品なども完備し、衛生面やプライバシーに配慮した個室空間になっています。

ほかにも「体を動かしたい」「健康でいたい」といった社員の欲求を叶える、ヨガスペースやシャワー室も設置。

どのような社員であっても、働きながら自分らしい快適性や心地よさを追求できるような工夫を凝らしていることがわかります。

600種以上の植物をパーテーション代わりにし、エリアを程よく区切りつつも、各スペースのつながりを維持できる空間づくりになっているのだとか。多様性を最大限尊重した同社は、まさにウェルビーイングを達成できるお手本のようなオフィス環境といえそうです。

まとめ

ウェルビーイング向上につながる働き方改革の具体的な施策は、オフィス・労働環境改善にほかなりません。オフィス・労働環境を改善することで社員は「自分らしく働ける」とポジティブになり、帰属意識や生産性を高めることになるのです。

ウェルビーイング経営によるオフィス・労働環境改善のメリットは多方面におよびます。そして具体的な取り組み策は、多種多様です。東京建物では、下記のような20項目のウェルビーイング向上因子を特定し、企業のウェルビーイング促進をサポートしています。

※本取り組みは東京駅前八重洲一丁目東地区再開発事業にも実装予定(八重洲一丁目再開発事業HP

他社事例なども参考にしつつ、社員の声、実情にあった施策を取り入れましょう。

 

参考文献

コロプラ新オフィスの全貌を公開!コンセプトは「従業員の健康×クリエイティブな活動環境」|会社を知る|採用情報|株式会社コロプラ https://colopl.co.jp/recruit/company/no7.php

About Amazon Japan Amazonのオフィス  https://www.aboutamazon.jp/news/amazons-offices

ウェルビーイングに関する取り組みをまちづくりに実装 「Well-being Lab.」発足 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000202.000052843.html

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