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会社規模が大きいほど、オフィス移転時にはある程度のまとまった費用が必要になります。また、移転の目的や新オフィスのテーマによって、予算は大きく変動するものです。
今回は100坪以上の大規模オフィスを軸に、ぜひ知っておきたい移転費用の基本情報からコスト削減のヒントまでまとめました。

オフィス移転に関わる費用一覧

まずは、新オフィスの契約にあたって必要となる基本項目を解説していきます。

前賃料

多くの物件では契約時、賃料を契約月と翌月分、まとめて支払います。そのため最初だけおおよそ2カ月分の賃料を用意しておく必要があります。

共益費

共益費とは、オフィスビルにおけるエントランスやエレベーター、トイレなど共用部分の管理費用などのことです。賃料に含まれているケースもあります。
賃料同様、契約時におおよそ2カ月分を支払うケースが多いです。

仲介手数料

オフィス契約を仲介した不動産会社などに支払う手数料。会社によってまちまちですが、おおよそ賃料1カ月分を見ておけば良いでしょう。

敷金

相場に関してはエリアや物件を所有する不動産会社によってまちまちですが、基本的に住居用よりも高いと言われています。大規模オフィスの場合はおおよそ12カ月を見ておく必要があります。

礼金

礼金はその名のとおり「お礼」目的で貸主に支払うもの。大規模オフィスでは一般的にかからない項目です。

保証会社への加入費用

一般的に事務所移転時に保証会社が必須となるケースは少ないです。しかし敷金のコストを削減するために利用できる場合があります。金額は保証会社によりまちまちですが、おおよそ賃料の1〜3ヶ月が一般的です。

火災保険料

オフィスの賃貸契約では火災保険への加盟が必要です。保険料は、保険会社やオフィス規模によって変動します。
大規模オフィスにおける保険料イメージを、一例としてまとめてみました。

これは東京にオフィスを構えた場合の費用イメージとなり、都市によっても変動します。

次に、新オフィスの設営に関する費用を解説していきます。

内装工事費用

天井、床、壁の仕上げやパーテーション、会議室、造作家具の設置に関わる費用。工事内容や施工会社によって費用が変動します。

大規模オフィスの内装工事は、坪単価で10〜30万円が相場とされています。その中でも、スケルトン状態からの内装工事は20〜30万円、居抜き状態からであれば10〜20万円での坪単価となります。ただし、規模が大きいほど坪単価は安くなりますので、見積もりをしっかり取ることが重要です。

またオフィス移転先の工事には、「誰が工事を行い、誰が費用を負担するのか」の区分があり、この区分によって費用も変わってきます。これをA工事、B工事、C工事といい、区分は以下です。

内装のほとんどはC工事に区分されるため、自分たちで予算に合わせて業者選定できますが、たとえばB工事の場合費用は自分たちが持つものの業者指定がオーナー側となるため、想定外の費用になる可能性があります。

什器購入費

新たなオフィス家具や備品の購入費です。費用相場は購入数や種類で変動しやすいですが、一般的には従業員一人当たり10万円前後が相場です。

次に、旧オフィスの退去にあたって生じる費用を解説していきます。

引越し費用

時期や業者、距離、荷物量などさまざまな点で費用が変動しやすい引越し費用。社員一人当たり3万円ほどが通常の相場だと言われています。一方繁忙期の場合、通常相場から1.5倍ほど値上がり、一人当たり5万近くかかることが多いです。

原状回復費用

大規模なオフィスの場合、坪単価10万前後が相場と言われており、たとえば100坪であれば1000万円程度かかる計算になります。
また内装によっても費用が大きく変動します。たとえば水回りに変更を加えていたり、間仕切りを設けていたり、天井に設置する照明設備にこだわっていると、原状回復費用がかさむケースが多いです。

原状回復工事は管理会社が指定する業者の場合がありますが、できれば複数社に見積もりを取ることをおすすめします。

不用品廃棄費用

新オフィスで使わない什器やOA機器を廃棄する費用。相場は2トン車1台で7~8万円、4トン車1台で10~15万円といわれています。大規模な移転の場合、2トン車では容量が不足することが多いので、余裕を持って予算を見ておく必要があります。

移転時には、引越しに伴う更新手続きもいくつか発生するものです。
最後に、手続き系の費用を解説していきます。

告知費用

名刺や会社案内、封筒など住所が記載された印刷物があれば、差し替えが必要です。また取引先などに移転案内の郵便通知なども行う必要があります。

公的機関への住所変更手続き費用

会社の住所が変わった場合、以下の公的機関への変更届出が必要です。

  • 法務局
  • 税務署
  • 都道府県税事務所
  • 年金事務所
  • 労働基準監督署
  • ハローワーク
  • 消防署
  • 警察署
  • 郵便局

自社で手続きを行う場合は移転登記の登録免許税3万円〜6万円ほどで収まりますが、もし司法書士に依頼する場合は、プラスで数万円かかるイメージとなります。

オフィス移転費用を出す際に考えたいポイント

オフィス移転では、さまざまな費用項目が発生することがわかりました。具体的な費用感を見ていく前に、まず考えておきたい項目が4つあります。

  • 見積りは複数の業者から取る
  • 賃貸契約の解約通知時期
  • 計画は早期に準備する
  • 現状のオフィス、働き方をきちんと整理する

見積りは複数の業者から取る

移転費用の相場を知るには、実際に複数の業者から見積りを取るのがおすすめです。リアルな金額感を掴め、概算時に役立ちます。
また業者により付帯サービスや対応料金はさまざまなため、理想のオフィス移転を叶える上でも複数の業者を見ておくことは重要です。

賃貸契約の解約通知時期

一般的なオフィス契約では、解約通知時期が6カ月前に設定されていることが多いです。それよりも遅い通知となった場合、遅れた月数分の賃料を支払わなければならないケースが発生することも。
無駄な出費を避けるため、まずは現在の賃貸契約の内容をよく確認しましょう。

計画は早め早めに

一般的に、オフィス移転のスケジュールは6ヶ月以上前から組むものと言われています。ただし、大規模オフィスの移転であれば、1年ほどのスケジュールを立てる必要があります。移転には高額の費用がかかるので、失敗しないよう綿密に計画を立てるようにしましょう。

スケジュールが短くギリギリな場合、余分な費用を支払わなければならないケースも出てきます。また手っ取り早いやり方に走ってしまい、社員や自社にとってあまり良い形に作用しない、中途半端なオフィスづくりになってしまう可能性も。社員の声を反映させ、自社への愛着を持ってもらい、理想の移転を叶えるためには、丁寧なプロジェクト進行がかかせません。

現状のオフィス、働き方をきちんと整理する

移転プロジェクト進行にあたり、ある程度の目的や新オフィスのイメージは固まっているかと思います。しかしプロジェクト成功のためには的確な予算配分を行う必要があり、それには明確な目的の設定と戦略立案が欠かせません。
費用を具体的に見ていく前に、ぜひ今一度下記を整理してみてください。

  • 今のオフィスには何が足りないのか?
  • 新しいオフィスに何を求めるのか?(コンセプト)
  • 社員に新しいオフィスをどう使ってもらいたいのか?
  • 新しいオフィスに移ることで、何を達成したいのか?
  • 新しいオフィスに移ることで、社員にどうなってもらいたいのか?

移転にかかる予算配分が、自社の経営戦略において適切かどうかを正しく判断できるよう、プロジェクトの目的や戦略を明確化しておくことが大切です。

オフィス移転費用を削減するためのヒント

オフィス移転というとなんとなく「コストがかかる」といったイメージが強いかと思います。しかしオフィスを変えることで社員がより働きやすくなったり、「良い会社だな」と帰属意識が高まったりなど、組織マネジメントの観点から「より効果的な投資」と捉えることもできます。

移転にあたっては、ただコスト削減に走るのではなく、「社員にとって、自社にとってよりよく作用するかどうか」の視点から、予算を組むことが重要。抑えるところはしっかり抑え、社員や自社にとって必要なところにきちんと投資できるよう、いくつか削減のヒントをご紹介します。

  • 什器の継続使用、不用品の売却
  • 引越しは繁忙期を避ける
  • 賃料交渉、フリーレント交渉
  • 居抜きオフィス、セットアップオフィスの検討
  • 優遇措置税制や補助金の活用

什器の継続使用、不用品の売却

オフィス移転を機にオフィス家具や備品などを新調するのはよくあることです。しかし、費用削減を考えるなら極力、オフィス家具などの什器は継続して使い回しましょう。什器それ一つひとつは大きな額ではありませんが、数が増えれば当然金額も嵩みます。
もしレイアウトなどの都合で、どうしても使えなくなってしまうオフィス家具や備品が多ければ、不用品売却の手もあります。経理処理の注意点や、守秘義務・個人情報の取り扱いなどいくつかクリアすべき要素はありますが、ただ廃棄するよりもお得なので、可能であれば売却業者に相談してみましょう。

引越しは繁忙期を避ける

引越し費用が高騰する可能性のある繁忙期を避けることで、費用を抑えられるでしょう。一般的にオフィス移転は1~3月と9~12月に集中するとされています。スケジュール的に可能であれば、できるだけ繁忙期を避けるのが吉です。

賃料交渉、フリーレント交渉

直接的な手段になりますが、貸主に値下げやフリーレントの交渉を行うのも手です。
もし賃料の値下げが通れば、敷金、礼金、仲介手数料も連動して下がり、大幅なコスト削減が叶います。オーナーに交渉の余地がありそうであれば、試してみる価値はあります。
一方、賃料交渉よりも実現性が高いのがフリーレント交渉。フリーレントとは、契約当初の1〜3カ月分程度の賃料が無料になる仕組みのことです。

フリーレントの交渉がしやすい物件としては下記があります。

  • 駅からの距離が遠い
  • 築年数が比較的経っている(古い物件)
  • ビルの空室率が高い

居抜きオフィス、セットアップオフィスの検討

内装にあまりこだわりがなければ、居抜きオフィスの検討も良いでしょう。前の入居者が原状回復工事をしておらず設備や内装、備品などが残っている状態なので、工事費用を格段に抑えられます。

また内装や設備が最初から備わっているセットアップオフィスもおすすめ。これらは工事費用だけでなく工事期間もなくなるため、「早めの移転」にも応えられます。

オフィス移転というのは経営陣やプロジェクトメンバーだけでなく、あらゆる社員にとって気持ちの動かされる取り組みです。今までと環境も変わりますし、「自分たちを主体に考えられた会社の取り組み」と捉えることができるからです。
特にセットアップオフィスの場合、立地や内装が社員にとって理想的な働き方を実現でき、ポジティブに作用するなら良い選択肢ですが、そうでない場合「コスパ重視」感を強く与えてしまいかねません。あくまで選択肢のひとつとして持っておきましょう。

補助金や助成金の活用

国や一部の都道府県では、オフィス移転に活用できる補助金や助成金を用意しています。

制度にもよりますが、一定の要件を満たすと申請できる可能性があります。気になる際は、ぜひ要項等を確認してみてください。

まとめ

オフィス移転費用は、予算をかけるところと削減すべきところをよく見極めないと膨大な金額になってしまいかねません。

移転プロジェクトは経営戦略のひとつであり、移転にかかる費用は戦略を達成するための投資です。きちんと目的や戦略を整理した上で、適切な予算配分ができるよう、計画を立てましょう。

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