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社員が働くオフィス空間に求められるものは、時代とともに変化してきました。本記事では、2010年前後からの時代背景を振り返ることで、今のオフィスづくりに活かすべきポイントを解説しています。

この記事を読むことで、社内環境を整備するヒントを得られますので、ぜひ最後までお読みください。

2010年以降の出来事と、その時に求められてきたオフィスの形

2010年以降、オフィスの役割や在り方は目まぐるしく変わりました。さまざまな社会的潮流により、重要視されるポイントが変化してきたのです。ここでは、2010年頃からのオフィスの形について解説します。

リーマンショックから新型コロナウイルスまでの大まかな変化

リーマンショックがオフィスに与えた変化

世界規模で景気が低迷したリーマンショックは、オフィスの形に変化をもたらしました。今までにない景気悪化で、生き残るための工夫をせざるを得なかったのです。

代表的なものでは、コストカットのため、オフィス機器をレンタルやリユースする手法です。プロジェクトにより一時的に必要なオフィス機器は、購入せずにレンタルすることで、大幅なコストカットに成功しました。

また、海外資本や国内大手家具チェーン店の、コストパフォーマンスに優れたオフィス家具にも注目が高まり、導入する企業が増えました。

震災によるオフィスの変化

2011年の東日本大震災では、オフィスの選び方や形が大きく変わりました。それは、大震災を経験して、いつ起きてもおかしくない大きな自然災害から社員の命を守るということを、改めて考え直す機会になったためです。

まず、関東地方の多くの企業は、東京一極集中の考えを見直し、他の地方へ拠点を移すケースが増えました。東日本大震災を機に、東京都により首都直下型地震の発生確率が見直され、安全性が高い地方への注目度が高くなったのです。
合わせて、本社などの重要拠点とは別の代替拠点であるサテライトオフィスも注目されるようになりました。これにより災害時でも業務機能を分散でき、経営を続けられます。

また、オフィスを耐震性が低いビルから高いビルに移転したり、移転しない企業はオフィス内の家具設置を見直したり防災用品を保管したりなど、レイアウト面で大地震への備えを強化しました。
さらに、各自治体が発行しているハザードマップを活用する企業が増え、それを参考にオフィスの立地を決めることが多くなりました。その理由としては、大震災時、関東にある複数の埋立地で液状化現象が発生したことがあげられます。

大震災をきっかけに、立地や耐震性、オフィス内での地震対策が重要なポイントとなったのです。

【コロナ以前】従来のオフィスの存在意義

ここからは新型コロナウイルスの前後から、オフィスの存在意義の変化をみていきます。

コロナをきっかけにオフィスの存在意義は大きく変わりましたが、「社員が快適に働く場所」というオフィス自体の本質は変わりません。さまざまな出来事によって注目されてきたもの、求められてきたことは変化していますが、本質が変わらない以上、いつの時代も社員が快適に働けるための要素が求められてきています。

オフィスの存在意義が変化しても、企業は従来同様社員が快適に働ける場所を提供し続ける必要があります。従来のオフィスへの取り組みを振り返ることで、快適な労働環境に何が必要なのかがクリアになり、自社に最適な施策が見えてくるでしょう。

物理的な帰属意識を重視

コロナ以前、日本では社員の企業への帰属意識が求められる中、物理的な帰属意識を感じられるよう、オフィスに集まって仕事をすることが当たり前となっていました。

世界的にはIT化が進み、紙ではなくチャットやメール、クラウドサービスを使うことが多くなったため、対面で会う必要は以前より減っていました。しかし、日本ではオフィスで仕事をすることが当たり前という風潮が強かったため、リモートワークはあまり浸透していなかったのです。
つまりオフィスには、時間や場所、空間を共有するスペースとしての役割があったのです。

社員が全員出社することを前提にした取り組みの採用

たとえばリーマンショック時は、オフィスに必要なツールや機器の入手方法を変えることでのコストカットや、オフィス家具のコストパフォーマンス性が求められました。これは全員がオフィスで働くことを前提にした、オフィス環境への取り組みです。

また東日本大震災時の取り組みも、オフィスの立地を変えたりオフィス内でできる防災に取り組んだりなど、前提には「社員は全員オフィスに来て働くもの」という考えが見えます。

このようにコロナ以前に求められてきたオフィスの形とは、「社員は全員オフィスに来るのが当たり前」「なのでオフィス自体をよりよくすることが重要」の認識が大前提にある上で変化していました。

【コロナ以降】変化したオフィスの存在意義

新型コロナウイルス感染拡大により外出自粛が求められ、これまでリモートワークを導入していなかった企業も、社員を自宅で働かせなければいけない状況になりました。一定の空間に人が集まるオフィスは、感染予防の観点から変化が求められたのです。

それにより、オフィス規模を縮小したり、解約したりする企業が増えました。

しかし2023年に新型コロナウイルスの分類が5類に引き下げられたことを皮切りに、オフィスへの回帰傾向が見られるようになりました。

オフィスへの回帰傾向は見られるものの、依然テレワーク信仰は根強い

日本生産性本部が実施する「働く人の意識調査」によると、テレワークの実施率は2020年5月の31.5%から2023年7月は15.5%と約半減。また、テレワーカーの週当たり出社日数「0日」が2023年1月の25.4%から2023年7月には14.1%へと減少しており、リモートワークから出社勤務へ移行する人が増えてきたことがわかります。

出典:日本生産性本部_第13回働く人の意識調査_レポート内https://www.jpc-net.jp/research/detail/006527.html

理由として、リモートワークは感染拡大を防げる反面、チームメンバーと対面でコミュニケーションを取りにくくなったことによる、業務のやりづらさなどが考えられます。リモートワークは一人で作業をこなすには向いていますが、直接対面で話ができないぶんコミュニケーションがスムーズに行かず、業務内容によっては支障をきたすでしょう。
同調査によると、テレワークの課題として「上司や同僚との意思疎通」をあげる人は全体の20%いることがわかっています。

しかしコロナをきっかけに「オフィスに行かなくても仕事はできる」という認識が社会全体に浸透したため、「オフィスにわざわざ行く意味はあるのだろうか?」と考える社員も少なくありません。たとえば、同調査によると「テレワークに満足している」「テレワークを継続したい」と考える人は8割以上おり、非常に高い割合を獲得しています。また「テレワークで効率が上がった」と考える人も7割以上いることがわかっています。

出典:日本生産性本部_第13回働く人の意識調査_レポート内https://www.jpc-net.jp/research/detail/006527.html

このように、テレワーク実施率は下がっているものの、依然テレワーク実施者の満足度は非常に高い傾向にあり、あらためて「オフィスに来て働いてもらうこと」の意味を考えていく必要がありそうです。

現在のオフィスに求められるもの

近年のオフィストレンドの流れの中で、ABW(Activity Based Working)というスタイルが注目されています。ABWとは、社員の業務に応じて最適な時間や場所を、自らが選ぶ働き方のことです。

具体的には、集中したいときはオフィス内の半個室ブースや完全防音ブースで働き、一方でアイデアや構想を練るときは気軽にミーティングできるスペースを作ることです。要するに、働き方のメリハリを考えたオフィスづくりが近年のトレンドといえるでしょう。
また、あえて余剰空間を作ることで社員のリラックススペースを配置し、休憩時にコミュニケーションを図るようなオフィス設計も多くなっています。

これは従来のオフィスには見られなかった、新しい傾向です。存在意義が変化したことで、単純な「働く場所」としてだけでなく「クリエイティブな付加価値を感じられる場所」としてオフィスが求められるようになったことがわかります。
これは「業務がしやすい」「コミュニケーションがとりやすい」「帰属意識を感じられる」など従来の基本的な要素だけではありません。「働く場所の選択肢のひとつとしてオフィスがある」という観点から、リモートワークでは味わえない働き方が得られる取り組みが、今のオフィスの大きな特徴といえます。

従来の取り組みは、今では通用しないのか?

リーマンショック時に求められたコストパフォーマンス性や、震災時に求められた災害対策、それ自体は今のオフィスづくりでも重要な観点といえます。

しかしこれらの出来事があった当時は「オフィスに行くのが当たり前」だったのに対し、現在は「オフィスには行かなくてもよい」と、あり方が大きく変化しています。そのまま従来の取り組みを適用すると、今のワークスタイルと噛み合わず、意味がなくなってしまう恐れが。

よいのは、従来求められた観点はそのままに、具体的な施策を今に合わせてブラッシュアップすること。コストパフォーマンス性も災害対策も、社員がより快適に働くために必要な要素です。これらの観点から考えられる施策を出した上で、今の働き方に噛み合う形に作り変えてみましょう。

まとめ

かつて、オフィスは対面によるコミュニケーションを重視し、組織の団結力を追求した空間でした。しかし近年は社員満足度も注目され、求職者が会社を選ぶうえでの基準のひとつになっています。報酬とともに社内環境も重要な選択肢になっていることを理解し、トレンドを踏まえたオフィスづくりを考えてみましょう。

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