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Z世代に向けてオフィス環境を整える際、彼らがどのような考え方を持っているのか疑問に思っている方が多いと思います。これからの社会を担うZ世代はどのような価値観を持ち、どのような働き方を望んでいるのでしょうか。

今回は、ユニークな事例と合わせてZ世代と仕事について解説していきます。

Z世代の特徴・価値観とは

Z世代が望んでいる働き方を知るうえで、まずはZ世代の特徴や価値観を知らなければなりません。Z世代がなぜ他の世代とは異なる価値観を持っているのかを詳しく解説します。

Z世代は90年代後半から00年代に生まれた世代

Z世代とは、1990年後期から2000年代にかけて生まれた世代を指します。X世代と呼ばれる60年〜70年代生まれ、Y世代(ミレニアル世代)と呼ばれる80年〜90年代半ば生まれがあり、アルファベット順からZ世代と呼ばれるようになりました。
またミレニアル世代に続いて「ポストミレニアル世代」とも呼ばれることもあります。
2023年時点では、10代〜20代後半がZ世代にあたります。

少子高齢化により、日本ではY世代と比べて減少傾向にあるZ世代。しかし世界規模では増加傾向となっており、各国ともZ世代をこれからの文化や経済を担う重要な世代と捉えています。

インターネットとの関わりが当たり前の世代

Z世代は、インターネットが当たり前の時代に育っているため「デジタルネイティブ」な世代ともいわれ、SNSを使いこなしていることが特徴です。XやFacebook、Instagramなど複数のSNSを使いこなし、オンライン上で交流を深めることに抵抗が少ない世代だといえます。

また情報収集や情報発信するスキルも高いです。買い物をする際にインターネットを活用しできるだけお得な情報を集めたり、SNSを活用し自分が「良い」と思ったものを宣伝したりなどの行動をとることが一般的で、企業や製品の口コミにも多大な影響を持っています。

タイパを重要視する

Z世代は、「タイパ」と呼ばれる時間対効果「タイムパフォーマンス」を重要視することも特徴のひとつです。

SHIBUYA109 lab.による調査によると、Z世代は別の作業をしながら映像を見る「ながら見」をしている割合が8割を越えており、ほかにもスキップしてコンテンツを飛ばしながら見る人が半数以上にのぼることがわかっています。

出典:SHIBUYA109 lab.調べ( https://shibuya109lab.jp/article/220818.html)

デジタルネイティブなZ世代は、常にコンテンツ過多な状態の中で生活しており、網羅しようとしても時間が圧倒的にたりません。そのため、ながら見やスキップなどタイムパフォーマンスを重視した行動をとるものだと考えられています。
また「自分にとってより価値のあるモノコトに時間を割きたい」という考えも強く、情報を「自分にとって価値があるかどうか」という観点で取捨選択し、メリハリを持った効率化を図っている印象も見えます。

個人の価値観や多様性を大事にする

Z世代は、個人の価値観や多様性を受け入れることに抵抗が少ない世代といわれています。インターネットで多様な情報を得る機会が多いことや、「みんな違って当たり前」だという教育を受けてきたという背景があるからです。

さらに、Z世代は多様性を大事にするということから、国籍や性別を区別せずフラットな視点でコミュニケーションを取れることも特徴のひとつです。また、「自分らしさ」という考え方を重視する傾向が強いため、自分自身の考えを周りに認めてもらいたいという承認欲求が強い世代だともいえるでしょう。

ウェルビーイングやSDGsなど社会問題への関心度が高い

「ウェルビーイング」(well-being)とは、肉体的・精神的・社会的に満たされた状態にあることを意味する概念です。価値観の多様化や働き方改革により、心身ともに健康であることが重要視されている中で、Z世代はウェルビーイングに高い関心を持っています。

さらに、SDGsや環境汚染などの環境問題や、社会問題に対する関心度が高いこともZ世代の特徴です。たとえば、商品やサービスを選ぶ際にも、環境に配慮されたものを選んだり、社会問題に取り組むブランドに興味を持ったりする傾向があります。

これは日常的にSNSを通じてさまざまな情報に触れていることはもちろん、リーマンショックや東日本大震災、コロナなど社会や環境が大きく変化するような経験から、環境問題や社会問題に対する価値観が形成されたといわれています。

Z世代が考える、理想の働き方

他の世代とは異なる価値観を持ったZ世代ですが、彼らが考える理想の働き方とは一体どのようなものなのでしょうか。Z世代の考え方も交えて詳しく見ていきましょう。

仕事の優先度は低め

多様なコンテンツに触れる生活が当たり前なZ世代はやりたいことや興味も幅広いため、仕事だけでなく趣味や家族など「自分にとって価値があるもの」を優先に考える傾向が強いといわれています。そのため仕事をしながら自分のやりたいことにも時間が使えるよう、「ワークライフバランス」を重視した企業を好むのが特徴です。

たとえば時短勤務や育休制度、フレックス制度などが整っている環境を重視します。また業務時間に必要な仕事を終わらせる、オンとオフのメリハリが効いた職場を選ぶことが多いでしょう。

ほか、有給休暇が取りやすいかやサービス残業の有無なども重視します。仕事一辺倒な生活ではなく、プライベートとの両立を図る働き方をしたいと考える人が多いといえます。

リモートが当たり前の感覚となり、環境整備が整っている企業を好む

Z世代は「無理なく自分らしく」働きたい気持ちが強いことが特徴です。またタイパ意識が強いことから、自分の価値観や自分らしさを保てる柔軟な働き方を求めています。たとえば「出社時間分で他にやりたいことをしたいから、時間を効率的に使えそうな完全リモートワークが良いな」と考える人も多いです。

また副業や兼業、パラレルキャリアにも興味を持っています。なかには会社員などをしながらすき間時間でSNS発信や動画配信などを行い、本業以外の収入を得ている人も増えています。「会社員だけ」という働き方に固執しておらず、自分らしさを発揮できてさらに収入を得られるような活動を考えている人は多いでしょう。

重要なことは「選択できる」という点です。出社だけ、リモートワークだけ、と偏ることがなく自分で働き方を「選択できる」ということがポイントです。

チャットに慣れている一方、対面でのコミュニケーションを重視

Z世代は、LINEのようなチャットツールを普段から利用しているため、チャットによるコミュニケーションスキルが高いです。一方、コロナ禍によって学校生活が制限されたり新卒入社した直後リモートワークになってしまったりなどの経験から、対面でのコミュニケーションを重視している人も増えていると考えられます。

たとえば新卒直後でのリモートワークの場合、チャットツールにてコミュニケーションは取れるものの、先輩や同僚との気軽な交流は難しく、慣れない業務をひとりでこなすような状況が発生していたと想像できるでしょう。とくにコロナ初期ではリモートワークの体制が整っていなかった企業も多く、現在と比べオンラインでのコミュニケーションがとりにくかったと考えられます。
これらの経験から、チャットだけでなく対面でのコミュニケーションを重視する声が増えているようです。

Z世代が求める働き方をどう反映するのか?

特徴的な価値観を持つZ世代は、これからの日本経済を担う存在であり、欠かせない人材です。企業は、Z世代の価値観も踏まえながら、自社の労働環境やワークスタイルを整えることが大切。では、具体的にどのような働き方を取り入れたらよいのでしょうか。

出社もできる、リモートワークもできるなど、偏りのない柔軟なワークスタイル

Z世代は自分の考えや価値観を大切にしており、自分で選択したい気持ちが強いため、働き方も自分で選びたい傾向が強いです。
出社のみ、リモートワークのみなど「働く場所」が限定されると、自分らしい働き方が実現できないと感じてしまうため、どちらも取り入れたハイブリッドワークなどの形が望ましいでしょう。

またサテライトオフィスなど働く場所の選択肢を増やしたり、ワーケーションなどより自分の時間を大切にしながら働けるスタイルを導入したりするのもおすすめです。自分で場所や仕事時間の使い方を柔軟に選べるかどうかがポイントとなります。

ほか、オフィス内において自由に働き方を選べる「ABW」も、Z世代の価値観に合ったワークスタイルといえます。リモートワークが当たり前になりつつも、コミュニケーションの側面から、オフィスに行き同僚や先輩たちと対面で働きたいと考えるZ世代は少なくないです。しかし柔軟性も求めているため、オフィス内で自由に働き方を選べるABWは、Z世代のスタイルに非常に合っていると考えられます。

環境やジェンダーへの配慮

SDGsや環境問題、社会問題への関心が強いZ世代は、普段の自分の生活と環境問題などを結びつけて考える傾向にあり、これは働く企業においても同様です。たとえばオフィス自体が環境に配慮したデザインなのか、ペーパーレスやリサイクルなどの資源活用に取り組んでいるか、人種やジェンダーにかかわらず多様性を尊重しているかなど、細かく見ている人も少なくないです。

とくにジェンダー関連は近年頻繁に話題になることから、気にしているZ世代は増えてきています。自分が就職を希望する企業において、「男性だから」「女性だから」と性別で縛られることなく、フラットに見てもらえるかどうかを重視する人は多いです。たとえば男女差なく同じ期間取得できる育休制度や、育休産休などの休職期間をはさんでも戻りやすい制度・環境の構築など、性別にかかわらず働きやすさややりがいを感じられるような仕組みづくりが重要となります。

まとめ

Z世代は、デジタルネイティブであることや、多感な時期に大規模な災害・パンデミックを経験してきたことで、社会問題への意識や連帯感を持った人が多いことが特徴です。また、多様性を重視しているため、さまざまな働き方やコミュニケーションの取り方を望んでいます。

他の世代とは異なる考え方を持ったZ世代のため、それに向けて働く環境を整えることに戸惑いを感じるかもしれませんが、本記事を参考に試行錯誤しながら取り組んでみましょう。

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