目次
オフィス移転成功のためには、プロジェクトチームの適切なアサインと、社員たちへの意識づけが重要です。
今回は移転プロジェクト成功のための全体的な組織づくりについてまとめました。
オフィス移転のチーム編成の考え方
オフィス移転は単なる物理的な場所の変更以上の意味があります。成功させるためには、適切なチーム編成とその活用が鍵です。
各メンバーの得意分野を活かし、社員全体との連携を深め、共有のビジョンを築くことで、スムーズかつ効果的な移転を実現できます。
本記事では、チーム編成を通じてオフィス移転を成功させるための考え方について解説します。
各メンバーの強みと役割の特定
全社一丸となって取り組むオフィス移転においては、まず適切なチーム編成が重要です。
移転に必要なタスクは基本的にチームが主体となって取り組みつつ、適宜意見を募るなどでチーム外の社員を巻き込むようなプロジェクト進行となります。チーム外の社員を巻き込む際は、各部署から意見を吸い上げることが重要なため、各部署からできれば1人はメンバーをアサインするとよいでしょう。
また各メンバーの強みを的確に認識し、適切な役割を割り振ることも不可欠。メンバーが自分の役割に誇りを持ち、責任感を持ってプロジェクトに取り組めるようチーム編成を行います。
大まかには、普段の業務領域などを考慮する形で、以下のように割り振ってみましょう。
メンバーをアサインし、チーム編成が完了したら、以下のようなオフィス移転における必須項目を検討していきます。
これら検討タスクを先ほどのチームに適切に割り振ることで、スムーズなプロジェクト進行につながります。
チーム外との連携強化の戦略
必須項目の中には、チーム外の部署やステークホルダーとの連携が欠かせない要素も含まれます。外部の専門家や業者と密接に協力し、プロフェッショナルな知見や技術を取り入れたほうがよい項目もあるでしょう。
質の高い移転計画においては、連携を強化する戦略を確立することが重要です。これは外部の専門家に対してだけではありません。社内に対しても同様です。関連部署や社員に理解と協力を得るためには、各社員が当事者意識を持てるような、適切なコミュニケーション戦略に取り組むことが必要となります。
オフィス移転を成功させるための意識づくりと巻き込みのコツ
オフィス移転は、組織にとって大きな挑戦の一つです。成功の鍵は、全社員の意識と参加意欲を引き出すことにあります。
移転プロジェクトは、基本的にプロジェクトメンバー主体でさまざまなことを検討していきます。しかし検討内容自体はプロジェクトメンバー以外の社員たちにとっても重要なもの。自社に属する社員全員が利用するオフィスだからこそ、プロジェクトメンバーだけでなく、そのほか社員たちも巻き込み、多くの社員の意見を取り入れながら検討することが大切です。
ここでは、各社員に当事者意識を持ってもらい、協力を仰ぐためにぜひ取り組みたいコミュニケーションの形をまとめました。
結束力を高めるための共通目標設定
オフィス移転の成功は、全員が共通の目標に向かって努力することで実現します。共通の目標を設定することで、チームの結束力が向上し、各メンバーの動機付けが促進されるのです。
まず、移転の目的と期待される成果を明確にします。たとえば「新オフィスでの働きやすさを追求し、生産性を20%向上させる」という具体的な目標が考えられます。次に、その目標を達成するためのアクションプランをチームで共有し、それぞれの役割を明確にすることが重要です。
また、途中経過を共有し、達成度をチェックすることで、目標に向かっての一体感を高めることができます。
コミュニケーションを活用した社員全体への情報共有
オフィス移転の成功の鍵は、社員全員が同じ方向を見て進むことが肝要です。そのためには、進行中の情報を適切に共有することが不可欠です。
具体的なコミュニケーションの手段は定期的な全体会議や、メール、社内SNSを活用した情報発信などが考えられます。
しかし、大切なのは「一方的な伝達」ではなく、「双方向のコミュニケーション」を心掛けることです。社員からの質問やフィードバックを受け取ることで、移転に関する不安や疑問を解消し、よりよい移転プロセスを構築できます。
また、進捗報告を定期的に行うことで、社員全体のモチベーションを維持・向上させることも可能です。オフィス移転はチームワークの結果。積極的なコミュニケーションを通じて、社員全員が一丸となって取り組める環境を作り上げましょう。
社員参加型の取り組みとフィードバックの導入
新しい環境での働きやすさやオフィス文化を形成する上で、社員一人ひとりの意見は非常に価値があります。そこで、社員参加型の取り組みを推進しましょう。
たとえばアイデアボックスの設置やワークショップを開催するなどがおすすめ。社員の声を直接取り入れることで、社員が満足できる働きやすいオフィス環境を構築できます。
さらに、フィードバックの導入も重要です。移転後の適応期間に、定期的にアンケートを実施し、感じていることや改善提案を収集。それを元に課題解決を進めることで、社員の満足度を高められます。オフィス移転の成功は、社員の参加とそのフィードバックにあり。全員の力を結集し、新たなオフィスでの新しいスタートを切りましょう。
社員を巻き込んだオフィス移転事例
オフィス移転時に社員の意見やニーズを取り入れ、よりよい職場環境を目指す企業が増加中です。ここでは、社員を巻き込んで成功したオフィス移転を行った2社を具体的に紹介します。
これらの事例を通じ、新しい働き方や組織の活性化のヒントを探ることができるでしょう。
サイボウズ
サイボウズが本社移転を計画した際、移転の全プロセスを社員と共有し、意見を集めるための取り組みを行いました。
事業拡大に伴い旧本社が手狭になる中、新たな働き方を実現するためのオフィスを考えるべく、「オフィス検討委員会」を立ち上げ。委員会はグループウェアを活用して情報共有を行い、時には「社内炎上」とも称されるほど熱のこもった議論を展開しました。
実際の家具の展示を行う「移転カフェ」の設置など、社員の声を直接聞く取り組みも導入。とくに若手社員からはオフィスでの対面の価値が高まり、「一つのオフィス派」が多数を占めました。このプロジェクトを通じ、サイボウズのオープンな議論の風土が再確認され、多くの社員が本社移転に「自分ごと」として関与することとなります。
最終的に、新オフィスがオープンすると、社員からは新しい環境に対する大きな期待と喜びの声が上がりました。
ヒトカラメディア
ヒトカラメディアでも、全社員を巻き込んで新しいオフィス移転プロジェクトを実施。オフィスの設計フェーズでは、経営陣も社員として参加し、新しい働き方やビジネスチャンスについて話し合いました。
その結果、日々の積み重ねから革新を生み出すことを重視した内装が計画されました。新オフィスは執務や打ち合わせスペースだけでなく、多機能なスペースも設けられ、社員のニーズに応えています。このプロジェクトを通じて、部署を超えたコミュニケーションが増加し、組織の活性化が進んだそうです。
ヒトカラメディアはこの経験から、オフィス移転は単なる場所の変更ではなく、組織の変革のチャンスとして捉えるべきだと強調しています。彼らの専門としている「働く場のプロデュース」の重要性を、自身の事例を通じて再確認したそうです。
まとめ
オフィス移転の際の成功の鍵は、適切なチーム編成とそのメンバーの明確な役割分担にあります。
このプロセスでは、外部の専門家やチームとの効果的な連携や、共有ビジョンの確立が求められます。また、成功のための意識づくりでは、全社員を一つの目標に結束させ、情報を透明に共有するコミュニケーションが不可欠です。
実際の成功事例を参考にすることで、理想的なオフィス移転のイメージを具体的に持つことができます。チームの協力と結束、そして社員の積極的な関与が、オフィス移転の成功への道を切り開く要となるのです。
参考資料
「オフィスのあり方」をきっかけに社内炎上?自社の強みを再発見した全員参加の本社移転プロジェクト(第2回GOOD ACTIONアワード受賞) https://next.rikunabi.com/goodaction/archive/2015/10/index.html
「ただの引越し」を「組織成長のチャンス」に変えた、全員参加型のオフィス移転 https://award.atwill.work/stories2017/222/