目次

グローバル化に伴いオフィスのサスティナビリティが重視されてきており、なかでもSDGsが注目されています。
今回はオフィスで取り組めるSDGsについて、さまざまな視点から情報をまとめました。

オフィスに関連したSDGsの目標

SDGsとは、はミレニアム開発目標(MDGs)の後継として採択された、よりよい世界を目指すための国際目標。SDGsの目標は世界のさまざまな課題解決を目指す社会貢献的なものであるため、公的機関はもちろん、企業も推進の対象として含まれています。

企業がSDGsに取り組むメリットには、ブランディングの向上や企業成長につながる新たなビジネスアイデア、ビジネスパートナーの獲得などさまざま。多様なビジネスチャンスの可能性を秘めています。
まずは具体的なSDGsの目標と、日本における推進状況について詳しく解説します。

SDGsの17の目標紹介

持続可能な開発目標(SDGs)は、地球上のあらゆる人々の生活をよりよくするための国際的な合意です。2030年までの期間にわたり、次の17の目標に取り組むことが求められています。

日本のSDGsの推進状況

SDGsの達成に向け日本では、産業界や自治体、NPOなど多岐にわたる組織が積極的に動き出し、多くのイニシアティブやプロジェクトが立ち上がっている状況です。
とくに、多くの大企業がSDGs達成に向けた行動計画を公表し、その取り組みを積極的に情報発信しています。また多くの地方自治体も、地域特有の課題に取り組むためのSDGsアクションプランを策定。市民との連携を深める動きが見られます。

しかしその一方で、具体的な実行や評価の体制がまだ確立されていない場面も多く、効果的な推進のためのフレームワーク構築が求められています。また一般市民のSDGsへの理解もまだ浅いとの指摘も。
総じて、日本のSDGs推進は確実に前進しているものの、より広範囲での取り組み強化と市民参加の促進が今後の鍵となるでしょう。

オフィスでできるSDGsの取り組みアイデア

オフィスの環境や運営方法を少し工夫することで、地球環境の保護や社会的な平等の実現につながったりします。
ここではオフィスがSDGsに貢献するためのアイデアを紹介します。ビジネスが持続可能で環境に優しいものとなるための一歩を踏み出しましょう。

再利用可能なオフィス備品、マイボトルシステムの導入

使い捨てではなく再利用可能なオフィス備品を選ぶことで、「12.つくる責任 つかう責任」を達成できます。たとえば、使い捨てのプラスチック製ではなく、ステンレス製やガラス製の再利用可能なものを使うことなどが当てはまります。身近な備品を環境に配慮することで、それを利用する社員への意識づけもしやすくなるでしょう。

また、ペーパーレス化もSDGsの目標達成につながります。書類や情報のデジタル化により、紙の使用が大きくカットされ、森林資源の保護や廃棄物の少ない環境を手助けすることになるでしょう。
さらに、飲料のリフィルステーション設置やマイボトルの推奨もおすすめ。とくにZ世代を中心にマイボトルの取り組みは広がっているため、企業全体で推奨することで、若手社員を中心によい印象を持ってもらえる可能性が高いです。

具体的な取り組みとして、たとえば東京建物では「循環型社会の推進」に関するさまざまな施策を行っており、そのひとつとして、2022年にマイボトルの利用促進により廃棄物を削減することを目的とした実証実験を実施しました。

本実験は本社の1フロアを対象として、サーモスによるボトルの提供、アペックスと味の素AGFによるマイボトル対応型コーヒーマシンとコーヒー豆の提供、そしてパナソニックによるマイボトル専用自動洗浄機の提供、といった体制で行われ、マイボトルでも手軽においしくコーヒーを楽しめる環境づくりを通じて、紙コップ由来の可燃ごみの廃棄削減を実現しました。現在は、本社に勤務する全社員を対象にマイボトルを配布し、社内コーヒーマシンの紙コップを全て撤去して、循環型社会のさらなる推進に取り組んでいます。

環境に配慮した社員食堂メニューの展開

社員食堂で展開するメニューや、共用部などで提供する飲料などをより環境や宗教などに配慮したものに変えることも、SDGsに貢献する取り組みといえるでしょう。たとえば社員食堂のメニューで使用する食材をオーガニックなものに変える、ヴィーガンメニューを展開するなどが考えられます。オーガニックやヴィーガンにこだわることは、「3.すべての人に健康と福祉を」や「13.気候変動に具体的な対策を」などの目標に貢献できる取り組みです。

具体的な取り組みとして、パナソニックでは持続可能な方法で生産された「サステナブル・シーフード」を社員食堂に導入しています。
同社は20年以上にわたり、WWFジャパンとともに海の豊かさを守る活動を行っており、サステナブル・シーフードはそのうちのひとつの取り組みです。
当初はパナソニックのみの導入だったものの、現在は他企業でも導入が広がっているのだそうです。

節電への取り組みやエコエネルギーの導入

オフィス内の節電に取り組んだり、エコエネルギーを導入したりすることで、「7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに」の達成につながります。
節電に関しては、空調の設定温度を変える、人感センサーの導入など手軽に取り組めるものも多いです。

エコエネルギーの導入に関しては、太陽光発電・風力発電などの再生可能エネルギーを、オフィスの電力供給源として取り入れているオフィスビルを選択するなどが考えられます。炭素排出量を大幅に削減できるだけでなく、各国で広がっているカーボンプライシング/インターナルカーボンプライシング(企業などの排出するCO2に価格をつけることで、排出者の行動変容を促す手法)における長期的なコスト節約も期待できます。

カーボンプライシングが導入されると、CO2価格が見える化され、CO2を加味した投資額や価値額がわかるようになります。エコエネルギーの導入などで炭素排出量の削減努力をしておくことで、将来カーボンプライシングが導入された時、CO2への取り組みが考慮され、コスト節約につながることが予想されます。

誰にとっても働きやすいオフィス環境の構築

SDGsのうち、企業にとってイメージしやすい目標となるのは、「8.働きがいも 経済成長も」だと思われます。具体的には技術向上やイノベーションに取り組んで経済生産性を上げたり、ジェンダーや人種に関わらず働きがいの持てる仕事を提供したり、すべての人が安心安全に仕事を行える環境を整備したりすることで、目標を達成できます。
これらはSDGsに関わらず、企業自体の成長においても重要な取り組みといえます。

取り組む上での課題

オフィスでのSDGsへの取り組みは、手軽なものもありますが、さまざまな課題も伴います。
まず、エコエネルギーの導入やオフィスの改修などの持続可能な変革には、高額な初期投資が必要です。
また、SDGsに関する知識や理解が不足している社員もいることでしょう。取り組みの重要性が共有されなければ、組織全体としての動きが鈍くなる可能性があります。
これらの課題に対し、経営層の強いリーダーシップや社内教育の強化、そして外部の専門家や団体との協力が必要です。課題を克服し、真の意味での持続可能なオフィスを目指すための努力が求められています。

まとめ

本記事では、オフィスに関連したSDGsの目標を中心に、持続可能な未来を目指す具体的な施策について解説しました。

その取り組みにも課題が存在し、継続的な努力と改善が求められます。そのためには、経営層と従業員がともにSDGsに関する意識を高め、外部専門家の意見やSDGsへ積極的に取り組む企業の事例を参考にするのがよいでしょう。持続可能なオフィス運営を目指す一歩として、本記事の内容を活用してください。

参考資料

東京スクエアガーデン12階「サステナブルセットアップオフィス」完成 東京建物株式会社のプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000162.000052843.html

東京建物、サーモス、パナソニック、アペックス、味の素 AGF 自動洗浄機を活用したマイボトルの利用促進に関する共同実証実験を開始 東京建物株式会社のプレスリリース
https://pdf.irpocket.com/C8804/Ts7h/cTIY/HLQh.pdf

『海を守る選択!』サステナブル・シーフードを社員食堂から拡げる - サステナビリティ - パナソニック ホールディングス
https://holdings.panasonic/jp/corporate/sustainability/citizenship/sustainable_seafood.html

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