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オフィスの移転には、単なる引っ越し費用だけでなく、内装工事費、原状回復費、不動産契約時の敷金・保証金など、さまざまなコストが発生します。これらの費用負担を少しでも軽減するためには、補助金や助成金の活用が非常に有効です。

※本記事は、2025年8月時点の情報です。補助金や助成金については、年度ごとに制度が変更される場合があります。補助金や助成金の活用を検討する場合は、最新の情報を確認するようにしてください。

オフィス移転時に活用できる補助金・助成金とは

まず理解しておくべき点は、オフィス移転そのものを対象とした補助金・助成金は非常に限られているということです。ただし、自治体によっては制度化された補助金・助成金が存在する場合もあり、その中には本社機能の移転に適用可能なものも含まれています。

● 大阪市「大阪市本社機能立地促進助成金」
● 札幌市「本社機能移転促進補助金」
● 名古屋市「本社機能等立地促進補助金」
● 福岡市「本社機能」(福岡市の中の企業立地の助成制度・税優遇制度)
(ただし、年度によって実施の有無が変わりますので確認は必要です)

これらは地方の主要都市で運用している補助金・助成金で、本社機能を移転する際に活用できます。かなり適用条件が限定されますが、条件に該当するのであれば、ぜひ活用したい内容です。一方、全国で活用できる補助金・助成金で、オフィス移転時に適用できる可能性があるものは以下になります。

上記の補助金以外に、厚生労働省の「キャリアアップ助成金」を活用できる場合もあります。この助成金は、非正規雇用者のキャリアアップ促進を目的とした助成金で、非正規雇用者を正社員に登用するなどのタイミングでオフィス移転を考えるケースでは活用できる可能性があります。

 

補助金・助成金を活用する場合の注意点

まず前提として、「オフィス移転そのものを補助・助成する制度」は、基本的には存在しません。ただし、生産性向上、事業継承、IT導入、事業再構築などの取り組みの一環として、あるいはそれらと同時に実施する場合には、補助金・助成金の対象となる可能性があります。この点を意識しておくことが重要です。

また、補助金・助成金の申請にあたっては、以下のような注意点があります。

・手続きが煩雑
補助金・助成金の申請手続きは基本的に煩雑で手間がかかります。担当者の負担が大きくなることは容易に想像できます。補助金・助成金は受けられたほうがいいのですが、それに係る負担に見合うかどうかを判断する必要があります。

・制度が頻繁に変わる
補助金・助成金制度は、頻繁に内容が変わります。また年度によって募集されないケースもあるので、最新情報をチェックする必要があります。

・申請できるタイミングが限られている
補助金・助成金には募集期間があり、募集期間外では申請はできません。オフィス移転のタイミングと合うかどうかが問題になります。また募集期間内でも、その年の予算を消化すると募集が打ち切られることもあります。

・原則的に後払い
補助金・助成金は、基本的にかかった費用を補助するものなので、「実際に掛かった費用」がわかってから払われます。つまり、後払いです。まずは全額を自己負担で支払うことが必要です。

・補助金・助成金は課税対象になる
補助金・助成金は、収益として扱われるため、課税対象になります。

・返還を求められることもある
補助金・助成金の申請時の内容通りに使用されなかった場合、受領した補助金・助成金を許可なく貸付、譲渡した場合などでは返還が求められる場合があります。

補助金・助成金申請の一般的な流れ

補助金・助成金の申請は一般的に以下のような流れになります。

注意すべき点として、補助金・助成金の申請は、申請企業側の都合ではなく、交付する自治体や行政機関のスケジュールに基づいて進行します。たとえば、オフィス移転のスケジュールが変更された場合でも、それに合わせて補助金・助成金の申請期間が変更されることはありません。

そのため、自社のオフィス移転スケジュールを十分に考慮したうえで、補助金・助成金の活用可否を判断することが重要です。

まとめ

オフィス移転は、企業にとって大きなイベントです。その際に、生産性向上の取り組みを行ったり、ITツールを導入したり、事業計画に変更が生じるケースも少なくありません。

こうした状況に該当する場合は、ぜひ補助金・助成金の活用を検討してみる価値があります。適切な制度を選ぶことで、移転に伴うコスト負担を軽減し、より効果的な事業展開につなげることが可能なのではないでしょうか。

※本記事は、2025年8月時点の情報です。補助金や助成金については、年度ごとに制度が変更される場合があります。補助金や助成金の活用を検討する場合は、最新の情報を確認するようにしてください。

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