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DXの一環で、AIを活用する企業が増えています。AIを活用することは、業務効率はもちろん、さまざまな観点から事業・企業の成長や活性化に最適です。 今回は、企業におけるさまざまなAI活用のイメージについて解説していきます。

近年のビジネスシーンにおけるAI活用状況について

近年、私たちの生活で身近になったAIは、ビジネスシーンにおいても多くの場面で活用されています。導入に際しては、ビジネス効率の観点はもちろんのこと、職場環境を快適にするといった目的でのAI活用も進んでいます。

ビジネス効率を向上させるためのAI活用

業界ごとにAIの導入事例はさまざまですが、ビジネス効率を向上させる観点で多くの企業がAIを活用しています。

一般的にビジネス面でのAI活用方法として、以下などが挙げられます。

・個別のニーズに合わせた顧客体験の提供

・業務プロセスの自動化

・ビッグデータの分析

AIは人間のような知能や学習能力を備えたコンピューターなため、顧客の行動心理などの細かい分析も可能なうえ、ビッグデータといった人間では処理が難しいような巨大なデータ分析に活用することもできます。

部門ごとの多様なAI活用

顧客ニーズの分析や膨大なデータ処理などに活用できるAIですが、具体的にどのような業務でどのように活用できるものなのでしょうか。営業や人事、経理といった部門別に、具体的な活用方法のイメージを考えてみます。

営業部門では、AIを使い顧客心理を分析することで、顧客ニーズに合わせた確度の高い商品やサービスの提案が行えます。また顧客からのお問い合わせ対応の自動化を図るために、チャットボットを導入し、そこで得た顧客の情報をセールスに活用するといった方法も考えられるでしょう。

人事部門では、採用選考における評価をAIがサポートする活用方法があります。実際に、エントリーシートや履歴書をデータ化しAIに読み取らせて評価まで行うサービスや、動画面接をAIに評価させるシステムが開発されています。また、AIであれば社員の評価を公平に分析できるため、人事異動や昇格の判断基準に採用する企業も増えているようです。

経理部門では、請求書の仕訳をAIに任せて自動化させる方法が考えられます。実際に、受け取った請求書をシステムに取り込むだけで仕訳入力や振込データが作成されたり、電子帳簿保存法の要件に沿った形で保存されたりするサービスがあります。

また部門にかかわらない業務効率化の取り組みとして、オフィスにAIカメラを導入して勤怠管理を効率的に行うものがあります。勤怠管理はパソコンで出勤・退勤時間を入力したり、タイムカードを利用したりする方法が一般的ですが、AIカメラを導入すれば、顔認識機能により勤怠管理を行うことが可能です。この方法を利用すれば、従来の勤怠管理業務のミスがなくなることに加え、入力の手間が省けること、関連して顔認識機能を使ったオフィスのセキュリティ強化にも繋げることができます。

AIによる職場環境の改善

AI活用は業務効率化だけでなく、快適な職場環境の実現においてもおすすめです。

たとえば、AIによる空調制御システムが挙げられます。AIがオフィス内にあるセンサーからのデータを活用してそれぞれの空調を適切な温度に制御することで、人の手を煩わせることなく快適なオフィス空間を実現できるシステムです。

ほかにも、オフィス内に設置したセンサーで社員の位置情報を取得し、各スペースの利用状況をAIで分析、改善などに活用する方法もあります。

たとえば「カフェテリアやリフレッシュスペースが思うように使われていない」などの課題があった際、どういう人がどのようなタイミングで利用しているのか、位置情報にプラスしてAIを使い社員情報を細かく分析することで、「なぜ利用されていないのか」といった問題点やニーズを見つけやすくなります。AIで洗い出した問題点やニーズに沿ってスペースを整備することで、利用状況の改善に繋げられるでしょう。

業務効率から職場環境まで、あらゆるシーンにおけるAI活用事例

業務効率はもちろん、職場環境の最適化など、ビジネスシーンにおいてさまざまな観点からAIを活用できることがわかりました。ここではより具体的な導入イメージがわくよう、3つの企業活用事例をご紹介します。

会話型AIの導入

音声アシスタントやチャットボットなどの会話型AIを導入し、カスタマーサポート担当者の負担を軽減させる取り組みが、海外を含め注目を集めています。

たとえばアメリカのある金融機関では、会話型AIを活用し、顧客がよくある一般的な質問を行った際に、回答をスピーディに得られるような仕組みを確立しました。これによりカスタマーサポート担当者の業務負担を減らすことに成功しています。

採用面でのAI活用

ショッピングサイト運営を中心にさまざまな事業を展開する大手多国籍企業では、社員の採用選考時にAIを活用しています。具体的には履歴書のスクリーニングや、応募者に最適な職務のマッチングなどを行っています。これにより、履歴書を手作業で選別する作業をなくし、応募から採用までのプロセス短縮に繋がっているようです。

社員の行動に基づいた空調調整やオフィス空間の自動最適化

社員の行動記録を活用し、空調やオフィスの照明などをAIで自動調整する仕組みを導入する企業もみられます。

同社では、社員証やモバイル端末にセンサーを付け、社員がオフィス内でいつどのような動きをしているのかを記録しています。この記録データを活用し、時間帯によってよく使われる部屋の空調設定を変えたり、照明を自動調整したりしているのだそうです。

空調に関しては、スタッフが自分のモバイル端末などから「暑い」などの情報を伝えることで、その時々に合わせてAIが調整するような仕組みになっています。また送られてきたデータをもとに、AIが各スタッフの最適な温度を学習し、スタッフに合わせた最適な温度を自動で設定されるようにもなっています。

企業がAI導入を成功させるための3つのステップ

AIの導入にあたっては、いきなりツールなどを検討するのではなく、「なぜ導入するのか」といった目的や「実際に活用できるのか」といった検証など、さまざまな事項を検討する必要があります。そこで、どういった事項をどのタイミングで考えるのが最適なのか、以下3つのAI導入ステップに整理してみました。

ステップ1:構想

ひとつめのステップは「構想」です。これはAI導入における最初の段階で、導入する目的や目標を設定することからはじめます。AIで解決したい課題を決め、実務での活用イメージを検討するのです。

構想のステップで重要なのは、導入する目的を明確化することです。

もし目的を明確化しないまま導入を進めてしまうと、AIでなくても解決できる課題に導入してしまったり、導入に向けた動きの中で問題が起きても対応できなかったりする可能性があります。

目的をはっきりと定めることができれば、より効率的にAIの導入を進められるでしょう。

また、費用対効果も重要です。AIの導入により、どの程度の売上アップやコスト削減が実現できるのかなどの費用対効果を、具体的に検討しなければいけません。

導入前に正確な数字を導くことは難しいかもしれませんが、事前にどれだけの予算が必要で、どの程度の成果を上げられるのかを試算することが重要です。あらかじめ効果を試算すれば、それを目標値として設定できるのもメリットです。

さらに、売上アップやコスト削減などの直接的な数値だけでなく、それによる社員の働き方にも注目しましょう。リソースの空いた社員にどの業務を任せるのかによっても、AIの導入効果が変わってくるのです。

可能であれば、導入による予算設定とあわせて費用対効果をシミュレーションできるとよいでしょう。

ステップ2:検証

ふたつめのステップは「検証」です。ここでは、ビジネスに適したAIを導入するためのモデル構築や、そのモデルが業務に適用可能なのかなどを検討します。ここでは、AIの専門家だけでなく、ビジネス担当者も積極的に関わることが重要です。導入にかかるコストも具体化していきましょう。

検証のステップで重要なのは、小さな規模から段階的に考えていくことです。

いきなり多くの業務に導入しようとすると、現場の理解度が追いつかず混乱が生じる可能性があります。まずは「手間がかかるが簡単な業務」からAIに置き換えることを考えていきましょう。小さく簡単な業務に導入しさまざまな社員に活用してもらうことで、企業全体のAIに対する理解度が深まっていき、より自社のビジネスに合ったAI活用方法がみえてくるかもしれません。

ステップ3:運用と改善

最後のステップは「運用と改善」です。このステップでは、AIを業務に導入する理由を現場の関係者に説明するなどの広報を行い、業務システムに組み込んでいきます。運用が開始された後は、定期的にメンテナンスを行い、適切に機能しているかを評価します。運用が安定すれば、システムとの連携の強化を目指しましょう。

まとめ

業界や業務によってさまざまなAIの活用方法があり、多くの企業がAIの導入を進めています。AIを導入するためのステップには「構想」「検証」「運用と改善」の3ステップがあり、段階的に考えることが重要です。

 

また、ここで紹介したAI導入にあたってのポイントを十分に理解すれば、さらなるビジネスの成長が期待できるでしょう。

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