多くの企業でSaaS(Software as a Service)の導入が進んでいます。おそらく多くの人がスマートフォンあるいはPCを活用して、なんらかのSaaSを仕事で使用していることでしょう。今回は、そのSaaSが働き方をどう変え、オフィスにどのような影響を及ぼしているか、まとめてみました。
7割以上の企業が、何らかのSaaSサービスを導入している
まず、SaaSとは何かを簡単に整理しておきましょう。SaaSとはクラウド上で提供されるソフトウェアサービスのことです。従来、ソフトウェアは、パッケージを購入し、PC、サーバなどにインストールして活用するものでした。これをクラウド上で提供するのが、SaaSです。
令和6年度版の「情報通信白書」によると、SaaS(クラウドサービス)を導入している企業は、2022年度で72.2%になっています。2018年度の58.7%から着実にその割合を増やしており、この増加傾向は今後も続くでしょう。また同白書では、SaaSの導入において、「非常に効果があった」「ある程度効果があった」と回答した企業は、89.1%と非常に高い割合を示しています。

ここで言う効果とは、業務効率化、ひいては生産性の向上にほかなりません。さらにSaaSは「初期投資を抑えやすい」「最新機能が自動的にアップデートされる」「場所を選ばず利用できる」といった利点もあり、中小企業から大企業まで幅広く浸透してきています。また、2024年1月から施行されている「電子帳簿保存法」の改正も、SaaS普及の一因と言えるでしょう。
SaaSが求められる理由~SaaSが変えていく働き方とは?
多くの企業がSaaSを導入する背景には、近年の働き方改革の流れがあります。先述の「情報通信白書」によると、企業が導入しているSaaSの内容として、「ファイル保管・データ共有」「社内情報共有」「メール」についで「給与、財務会計、人事」が46.6%と高い数値となっています。「スケジュール共有」「営業支援」「プロジェクト管理」「eラーニング(教育)」がそれに続きます。

いわゆるバックオフィス、社内実務の分野でSaaSが多く活用されていると言えます。毎月の給与計算、経費精算、請求書発行業務、決算業務など負荷の高い業務をSaaSの活用によって低減し、人的負荷を軽くする効果がSaaSには期待されています。また、どこにいても同じシステムが利用できるため、オフィスに出社しなくても作業ができるようになり、より柔軟な働き方が実現できると考えられます。
SaaSの導入で変わるオフィスのかたち
SaaSの導入により業務負荷が減ってそもそもの人員削減につながったり、どこでも同じ環境で業務が行えるため出社比率が下がるなど、オフィスにおける執務室の割合も変わってくるかもしれません。出社比率が下がればオフィス面積そのものを削減し効率化することも可能になります。執務スペースを減らして、新たに会議室を設けたり、ウェルビーイングの観点からリラックススペースやカフェエリアを増やすケースもあります。これは、「働きやすい環境づくり」の一環であり、新しいオフィスのあり方だと言えるでしょう。

SaaSを活用することで、それまでオフィスにおいて一定の面積を割いていたサーバルームを削減できるという効果も期待できます。サーバルームは、面積はもちろん、冷房費やサーバの電気代など、多くのコスト負担がある施設です。これらが削減できることは、SaaSのサービス使用料と比較しても、メリットがあるケースが多いようです。
ただし、通信設備の拡充、セキュリティの設備強化など、従来とは異なる方向性での設備投資も必要になることは念頭に置く必要があるでしょう。クラウドを活用すればどこからでも業務にアクセスできる一方、情報漏洩やサイバー攻撃のリスクは高まります。そのため「ゼロトラストセキュリティ」など新たな概念を取り入れる企業も増えてきました。
まとめ
SaaSの普及は単なる業務効率化にとどまらず、企業の働き方そのものを大きく変えています。リモートワークやハイブリッドワークの実現、バックオフィスの効率化、AI活用による高度なデータ分析など、そのメリットは多岐にわたります。一方で、セキュリティや通信環境整備といった新たな課題にも向き合う必要があります。
SaaSの進化とともに、私たちの働く環境はさらに柔軟で効率的なものへとシフトしていくはずです。出社の必要性が変化する中で、オフィスに求められる機能も社員同士のコミュニケーションやアイデア創出など徐々に変化してきていると考えられます。SaaSの活用・導入は、オフィスのあり方を改めて考えるきっかけの一つになり得ます。
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