オフィス環境を語る上で、広さや設備に注目が集まりがちですが、実は「整理整頓」こそが、業務効率を大きく左右する重要な要素です。多くのオフィスで「物が多くて片付かない」「そもそも収納スペースがない」といった悩みが聞かれますが、諦める必要はありません。
この記事では、あなたのオフィスが抱える整理整頓の課題を解決し、生産性向上へと導く具体的な改善策をご紹介します。
オフィスを整理整頓すると生産性が向上する?
オフィス整理整頓の真価とは何でしょうか。一見すると単なる美化活動に思えますが、実は企業の生産性向上に直結する重要な要素です。どれほど最新の設備を導入し、洗練されたレイアウトを採用しても、オフィスが雑然としていては、その効果は半減してしまうでしょう。
この点は、過去の調査でも明らかになっています。少し古いデータにはなりますが、大阪商工会議所が「企業経営における「清掃、整理・整頓、清潔」に関するアンケート調査」では、回答企業の68.7%が「職場環境、公衆衛生・安全性が向上した」と回答、また44.2%が「従業員のモチベーション・モラルが向上した」、36.7%が「作業・業務効率の向上およびコストの削減」という効果を実感していると報告しています。整理整頓されたオフィスが働き方に良い影響を与えることは間違いなさそうです。

出典:大阪商工会議所「企業経営における「清掃、整理・整頓、清潔」に関するアンケート調査」
https://www.osaka.cci.or.jp/Chousa_Kenkyuu_Iken/press/240216souji.pdf
また、2025年3月に内閣官房内閣人事局が発表した「オフィス改革ガイドブック」においても、オフィス改革における手法の一つとして、「書類、備品保管スペースの削減」は優先的に取り組む項目としてあげられています。その実現にはペーパーレス化をはじめ、オフィスの整理整頓は欠かせません。

出典:内閣官房内閣人事局「オフィス改革ガイドブック」
https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/pdf/02_250331.pdf
オフィスの整理整頓を実現する3つのアプローチ
では、具体的にどのようにすれば整理整頓されたオフィスを実現できるのでしょうか。その鍵となるのが、次の3つのアプローチです。
それが、「ものを減らす」「収納スペースを見直す」「ルール化し習慣化する」の3点です。
■ものを減らす
まずは、オフィスから「不要なもの」を徹底的に減らすことから始めましょう。個人のデスク上はもちろんのこと、会社全体で物を減らす工夫が求められます。
その最たるものが、ペーパーレス化とDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進です。オフィスの大部分を占める書類の山は、実はその多くがデジタル化できる可能性があります。情報共有ツールやクラウドサービスの活用により、紙媒体で保管する必要があるのか、本当に必要な書類なのか、今一度見直してみましょう。電子帳簿保存法の改正により帳簿類も電子化が可能ですし、名刺のデータ化も進んでいます。保管するべき書類が電子化されているにもかかわらず、紙のまま保管しているケースも多いようです。
取引先に関する書類やプロジェクトに関する記録などが電子化されていないケースも多く、そもそも「何年も誰も見ていない書類」は案外たくさん残されているものです。不要な書類を削減するだけで、収納スペースに劇的な変化をもたらすことができるはずです。
■収納スペースを見直す
次に、「収納スペースの最適化」を考えます。物を減らす努力と並行して、既存のオフィス空間を最大限に活用し、効率的な収納スペースを確保することが重要です。
オフィスを見渡せば意外な場所にデッドスペースが見つかることもあります。例えば、以下のような場所はないでしょうか?
・使用頻度の低い会議室や応接スペース
・日中の利用が少ない営業部門のオフィスエリア
・テレワークの普及により空きが増えたスペース
これらの場所は、新たに収納スペースとして活用することも可能です。また、テレワークの定着などから、個人ロッカーの見直しも大きな収納力対策になり得ます。テレワークが多い企業であれば、あまり使われていない個人ロッカーが増えがちです。
そこで、個人ロッカーの使用状態を把握して、より小さなサイズへの変更や出社頻度が低い部門はチームで1つにすることなども検討できるでしょう。
また、オフィス内で新たなスペース創出が難しい場合は、外部の書類保管サービスなどの活用を検討してみてもよいかもしれません。
■ルール化し習慣化する
そして何よりも重要なのが、定着させることです。整理整頓、スペース活用も、一時的なものでは意味がありません。継続し維持することが重要です。そこで、必要なことが、ルール化と習慣化です。
書類などの保管ルールの徹底、破棄するタイミングを決め、それを実行する仕組みを作る。例えば、週一回でも、月一回でも、書類の確認を行い、廃棄漏れをなくすように確認するといったことをスケジュールに組み込めば、自然と習慣化するでしょう。
こういったルール化、習慣化の背景には、「意識改革」があります。この意識改革が全従業員に浸透しなければ、一時的にオフィスがきれいになっても、すぐに元の状態に戻る可能性があります。なぜ整理整頓が必要なのか、その本質的な意義を全員が理解し、表面的な清掃にとどまらない、持続可能な整理整頓の仕組みを構築することが成功の鍵となります。
まとめ
オフィスの整理整頓と収納の見直しは、単に「きれいなオフィス」を作るだけではありません。それは、働き方そのものを見つめ直し、オフィスのあるべき姿を再構築する、未来に向けた重要な投資です。生産性向上に貢献するだけではなく、企業の成長戦略の一環として、経営者が陣頭に立って、取り組む姿勢を見せる必要があるでしょう。

