WORKSCAPE INNOVATION

働く風景を変えていくジャーナル。それが「WORKSCAPE INNOVATION」です。次世代オフィスのコンセプトの開発・研究に長年携わってこられた岸本章弘氏がお届けします。

No.02 多様な人材のマネジメントを支えるオフィス 2011.05.09 up

文および写真=岸本 章弘(ワークスケープ・ラボ代表)

世代によるワークスタイルやオフィスへのニーズの違いについては、日本ではまだあまり話題になっていませんが、欧米ではあちこちで議論されているようです。

図1は、ドイツのコンサルティングファームが銀行や家具メーカーなどと一緒に進めている研究プロジェクト「Recruiting the Next Generation」のホームページです。将来、企業組織の中核を担うことになるY世代やミレニアル世代と呼ばれる次世代の人材層(注)について、その価値観やスタイルの特徴を研究し、彼らの中から優秀な人材を確保するためにどのような方策が必要かといった議論がされています。

この他にも、Y世代の参入によって、組織の中では伝統世代、ベビーブーマー、X世代と併せて4つの世代が共に働くようになるということで、世代によって異なる価値観や仕事に対する姿勢、情報技術の使い方などのワークスタイルの志向の違いをどう理解し、いかにして優秀な人材を引きつけるかといった議論や提案も多く見受けられます。

こうした議論の前提となっている共通認識は、これからの知識主導のビジネス環境において企業の競争力の源泉は人材にあること、それにもかかわらず新しい若い世代の人口は尐なくなっていること、その中でも優秀な人材はきわめて流動的であること、そして情報技術の使い方なので旧世代とは違った仕事や生活のスタイルを志向していることでしょう。そして、今後ますます激しくなる人材獲得競争において優位を保つために、どのような働く環境や仕組みを用意すべきか考え、対応策を立てようとしているわけです。

図2:glassdoor.com (http://www.glassdoor.com/)

図2:glassdoor.com (http://www.glassdoor.com/)では、
求人情報やオフィス環境の写真から元社員のインタビューまで、
さまざまな情報を見ながら気になる会社について比較検討できる。

また、そんな新しい世代に向けて、求人する側の各企業が提供する仕事や環境の情報は、図2のような転職支援サイトなどに広く公開されています。求職者や転職希望者は、こうした情報源を通じて仕事内容や給与レベルから、環境や福利厚生サービス、さらには社員のコメントまで、さまざまな情報をチェックし比較検討できる状況になっているわけです。

ビジネスの競争がますますグローバル化しつつある状況を考えると、今後こうした人材獲得競争の波から日本企業が逃れられる根拠は見あたらないでしょう。曖昧な職務の記述しか提示されず、あとは「委細面談」と記された会社と、詳細な求職情報から個性的なオフィスのバーチャルツアーまで提供している会社を比較するとき、これからの若い世代がどちらに興味を持つかは明らかでしょう。

注: ・ミレニアル世代(Millennial Generation または Millennials):1982-2000 幼尐期からデジタル化された生活に馴染んだ世代
   ・Y世代(Generation Y):1975-1989 ベトナム戦争終結からベルリンの壁崩壊までの時代に生まれた世代
   ・X世代(Generation X):1960-1974 ケネディ政権の時代からベトナム戦争までの時代に生まれた世代
   ・ベビーブーマー(Baby Boomers):1946-1959 第二次世界大戦の終結後のベビーブーム期に生まれた世代
   ・伝統世代(1909-1945) Silent GenerationからG.I. Generationまで、高年齢世代の総称

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