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+TOWN 中野@DEEP その1・音楽

文=安田洋平(株式会社アンテナ)

100数十軒の店が並ぶ中野サンモール商店街。

中野で30年以上の歴史を持つ老舗中古レコード屋「RARE」。中央線はレコード屋やライブハウスなど音楽との結びつきが強い。

駅南口から歩いていける島忠ホームセンター。

中野ブロードウェイにある「shop MECANO」。中野だけでも5店舗以上のレコード&CD店がひしめく。

庶民メシ・飲み屋が充実している。

今日の収穫。ジャズのサックスプレーヤーSTAN GETZとボサノバのギタリストJOAO GILBERTOが共演している60年代のライブCD。

中野は街全体がディープなライブラリーのようなところだ。この街にひとたび没入すれば創造につながるいろいろなインスピレーションを得ることが出来るし、資料集めにも事欠かない。というわけで今回からはそんな街のさまざまなコンテンツをシリーズでお送りしていきます。題して「中野@DEEP」。第一回は「音楽」です。

実を言うと筆者は学生時代、中央線の新宿・中野・高円寺・吉祥寺・国分寺、この辺りをホームグラウンドにして活動していた。これらの駅に共通する要素は、そう、レコード&CDショップが充実しているということ。新宿西口は東京屈指のレコード屋ストリートがあるし、吉祥寺と国分寺には「珍屋(めずらしや)」というフォークやソウルに強い中古レコード店があった。そして中野や高円寺・阿佐ヶ谷などには「RARE(レア)」というやはり老舗の中古レコード店が、30年以上前から営業を続けている。ロック、ジャズ、ボサノバ、黒人音楽……、あらゆるジャンルの音楽をこうしたレコード屋で毎日のように「掘って」いた(音楽好き、とりわけレコードで買うような輩は探す行為をこう呼ぶ)。

今や音楽を聴くだけならインターネットで曲をダウンロードすればおしまいかもしれない。しかし、レコード店というのはもっといろんな情報量が流れ込んでくるところだ。たとえば、レコードのジャケットや、あるいはそこに巻かれた帯にも、「時代の文法」を読み取ることができる。どういう社会風潮やどういう流行があり、そしてそれをどう時代の表現として落とし込んでいたのか?

ファッショントレンドなどにしても過去のそれのリバイバルやリ・アレンジから来ているものが多いことからすると、これからの文化をつくりだしていこうとする人たちにとっては、貴重なアーカイブだ。中野は足元に宝がたくさん眠っている、そんな街だ。そしてそれをいかに発見してどう再編集するかが、街を使う人の力量である。

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