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+PARK ニューヨークの「校庭」を使った夏のイベント「PS1/Warm Up」

文=安田洋平(株式会社アンテナ)

P.S.1

NY・クイーンズ地区にある美術館「P.S.1」。毎年夏になるとビーチのような遊び場が作り出され、ニューヨーカーたちは思い思いに週末のアウトドア・イベントを満喫します。
(撮影=Howard Heyman)

P.S.1

そのイベント名は「Warm Up」。若手建築家が毎年、エコで涼しげな会場デザイン案をコンペで競うのも楽しみのひとつ。
(画像著作者=Solid Objectives – Idenburg Liu.)

P.S.1

実はこのP.S.1、小学校を改装してつくった美術館。ということで、夏のイベントが行われている会場は元・校庭なんです。
(撮影=Matthew Septimus)
(写真提供=MoMA PS1

もう2001年のことになりますが、ニューヨークに2カ月滞在していた当時、周りのニューヨークっ子に、週末どこに遊びに行くかと尋ねると何人もの人から「Warm Up!」という声が返ってきたのを覚えています。PS1でもう14年も毎年行われている、もはやニューヨークの夏の恒例イベント、風物詩といってもいい。7月から9月の期間限定で毎週土曜日開催されています。 

PS1というのは、クイーンズ・ロングアイランドにある美術館。ニューヨーク近代美術館(MoMA)の提携施設なのですが、廃校になった小学校を再利用しています(PS1=Public School 1=公立第一小学校の略)。館内では毎回ユニークな現代アートの展覧会が行われていますが、ここのもうひとつの施設的特徴は、そう、「校庭」があること。かつての校門に囲まれた中庭の部分を使い、夏になると毎週末、DJ&ライブ付きのアウトドア・パーティーが行われています。

興味深いのは、Young Architects Programという、建築コンペを組み合わせている点です。すなわち、毎年、この音楽パーティーの会場デザインをコンペで競わせるのです。ニューヨークの話題のイベントということで、コンペを勝ち取り、実際にその年のWarm Upのセットをつくる担当ということになればその建築家にとってはまたとない注目を浴びる機会にもなる。また、単に気持ちの良い施設をつくるといったことと併せて、持続可能性やリサイクルといった要件もこのコンペでは求められるため、環境共生的なメッセージも、投げかけることができます。

ともあれ、プールや、ミストシャワー付きのベンチがあったりと、単なるクラブイベントというのではなく、子どもも大人も一緒にくつろげるところがいいんですよね。ちょっとビーチみたいと言いますか。涼しげな感じを演出しつつ、でも「Warm Up!(熱く盛り上がれ!)」というところがニクいです。日本でも、公園などでこういった夏のイベントがあればいいのに!

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