文=安田洋平(株式会社アンテナ)
アイデアキャンプのメンバー、中西泰人さん(慶應義塾大学環境情報学部准教授)。
段ボールボード、イーゼル、アウトドアチェアなどアイデアキャンプを行うときの「キャンプ道具」たち。(撮影=佐藤益大)
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公園でアイデアキャンプを行っている様子。(撮影=杉浦貴美子)
このたび、慶應大学の中西泰人(なかにし・やすと)さんや広告代理店に勤める岩嵜博諭(いわさき・ひろのり)さん・佐藤益大(さとう・ますひろ)さんが中心となって行っているプロジェクト、「アイデアキャンプ」の本が刊行されました。文具と街の使い方に着目して発想法と働き方の新しいスタイルを考えるアイデアキャンプとは何か、早速中西さんに話を伺いました。
「段ボールボード、イーゼル、ポストイット、ペンなどからなる道具を持って、オフィスを離れて現場や気持ちの良い場所でアイデアを出しましょうという提案です。どうしてもオフィスの中だけにいると発想が社内都合的なものになりがち。でもそもそも何のためにこのアイデアを出さなきゃいけないんだろうという根本を再確認することや、アイデアが出てくるまでのプロセスそのものもよいアイデアを生む上では実は重要です。それによって出てくるアイデアの質や幅は大きく変わってくる」
キャンプという言葉には野外で自然を楽しむキャンプと軍の新兵訓練キャンプのように合宿してトレーニングするキャンプと、2種類の意味があります。アイデアキャンプはインフォーマルな雰囲気の中でリラックスしつつ、同時に頭も働かせようとするもの。
でも公園などオフィスの外だとつい遊んでしまうのでは??
「昔、喫茶店は休む場所でした。でも今そこは多くの人にとって仕事をする場所にもなっています。今の人たちはその時その時で一番気分の乗る場所はどこかを見極めて時には外で仕事するなど、場を使い分けることに慣れている。
公園でブレインストーミングをするのはまだ経験としてないかもしれませんが、気持ちのいい場所でアイデアを出すと気持ちが良いのだ、ということがわかれば皆さんやってみようと思ってもらえるのでは」
これまで日本では、余計な要素はなるべく持ち込まず机に向かいストイックに仕事をするという働き方の観念が中心にありました。しかし楽しみながらリラックスして働いた方が本当はいいアイデアも出ていい仕事ができるのでは? という考え方も少しずつ広まり始めています。せっかくの気持ちのいい季節、環境を変えて外に道具を持ち込んで新しいシンキングスタイルを身に着けるというのはどうでしょうか?
- 『アイデアキャンプ 創造する時代の働き方』 NTT出版
- アイデアキャンプのHP/(現在HP閉鎖中)