文=安田洋平(株式会社アンテナ)
河田将吾一級建築士事務所
代表・河田将吾さん。
河田さんが手がけたオフィスのひとつ。
色をバラバラにした積み木のようなブロックは軽く、すぐに持ち運べて組み立てたりもできる。
(撮影=関 大介)
フリーアドレス式(注:社員が個々に机を持たないオフィススタイルのこと)のオフィス。
机を不定形にしたことで、
働き方にも流動性が生まれた。
(撮影=関 大介)
写真提供=河田将吾一級建築士事務所
「オフィスって、どうレイアウトすればいいの?」。今回はFacebookやtwitterで個人同士がゆるやかにつながりはじめた現在の時代状況を意識したオフィスづくりについて、「河田将吾一級建築士事務所」河田将吾さんに聞いてみました。
「かつてのオフィスはただそこにあるということで完結した空間であれば良かった。けれども今は、人がそこにいることで自然と周りのいろんな人との多様で自由なコミュニケーションが誘発され、いつの間にかサービスや商品が生まれていく、そんなプラットフォームのようなオフィスが必要になっていると思います。昔にあった考え方は、ハードがあってソフトがあるというものでした。でも今はソフトがあってその中でハードが生まれる。そんな感覚になってきています」
実際のデザインに落としこむにはどうすれば良いですか?
「たとえば今までの会社だと部署が違えばコミュニケーションを取らないことが多かった。でも、これからは部署を越えてともに考えることが求められる。それゆえ異なる専門の人たちがゆるやかに同じ空間のなかで共存していて、その場でお互いの会話が積極的に始まるようなレイアウトが望ましい。自由に人が動き、自然と会話に参加できる、そんな空間的工夫が大事です」 『完全に仕切るのではなく空間の境界線を曖昧にする』『ミーティングルームの家具を軽くして簡単にどこにでも移動させられるようにする』『コミュニケーションが活発になる色や素材を使用する』など、ちょっとの仕掛けによっても人の動き方は変わるという。
「人類はコミュニケーションにより進化してきました。会社を進化させるためには、コミュニケーションを活性化させることが重要です。そのためには、オフィスは発想や行動を『律する』空間であってはならない。むしろ、どんどん『○○してしまう』を誘発する『禁止事項が少ない』空間の方が、知識や体験も共有され新しいものを生み出せる可能性は広がります」
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