文=安田洋平(株式会社アンテナ)
毎号刺激的な海外のオフィスを紹介した
「ECIFFO(エシーフォ)」
岸本氏の新刊
『NEW WORKSCAPE 仕事を変えるオフィスのデザイン』
仲隆介、中西泰人、馬場正尊、
みかんぐみとの共著
『POST-OFFICE ワークスペース改造計画』
『ECIFFO』を知っているだろうか。オフィス家具メーカーのコクヨが1988年に創刊して2009年まで、21年間続いた雑誌だ。オフィスデザインに携わっている者で知らない人はもぐりだと言われた。毎号豊富なカラー写真で紹介される海外の斬新なオフィスたちは、他の媒体ではお目にかかることができない貴重な資料で目を見張ったものだ。
今、本サイト「PARK OFFICE LABO」で連載「WORKSCAPE INNOVATION」を執筆されている岸本章弘さんがその『ECIFFO』の編集長をされていた方である。
今回は、そんな岸本章弘さん関連のオフィスデザインを考える本を2冊ご紹介したい。
『NEW WORKSCAPE 仕事を変えるオフィスのデザイン』(弘文堂)。20年余に及ぶ岸本さんのオフィス研究の粋が詰まったこの本には、オフィス環境がどう変わると、そこでの人の働き方が活性化するかについて、たくさんのヒントが詰まっている。たとえば、どんな道具立てをされることによって、働く人たちのコミュニケーションが活発になるか。より人が「集まる」ことがオフィスにおいてより重要な要素となり始めている現在において、「非仕事空間」の持つ潜在力が増していること。また現在の働く場所は昔より「拡張」し街の中にも広がっているため、街という外的資源もより一層重要になっているといったこと、など。「人は環境で変わる」のだ。
もう1冊は、岸本さんが共著で参加している『POST-OFFICE ワークスペース改造計画』 (TOTO出版)。こちらはもう少しカジュアルに読める、いろんなワークスタイルのアイデア図鑑。会社の中で。公園で。カフェで。都市で。いろんなところで、いろんな働き方が可能であるという、アイデアが詰まっている。ユーモアがあるので笑いながら読め、しかしながら発想が次第に膨らみ、頭が冴えてくる一冊。
かつて岸本さんは『ECIFFO』編集後記でこう語っていた。「目指すべきは、『最新』でも『最高』でもなく、『最適』である」。あなたにとっての、最適なオフィスのありかたを、これらの本から探してみてはいかが。